内容説明
感受性の鋭い、内気な少年ニコラ。スキー教室参加をきっかけに、予期せぬドラマが次々と展開する。謎、怪奇、犯罪…少年の白昼夢はリアルで、読者は夢想の世界だけであってほしいと願うのだが…。少年特有の心象風景と避けられない人生の悲劇を、抑制のきいた文体で鮮烈に描いた傑作。仏・フェミナ賞受賞のベストセラー。映画化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
すけきよ
3
これまで読んだ2作が、嘘、妄想が現実を捻れさせ、それが事実に成り代わってしまう話だったけれど、本作はそこまで夢想力は強固ではない。しかし、少年ならではの、不幸になるが故の優越感妄想、思春期前の同性への憧れの夢想が生々しい。また、ニコラは『嘘をついた男』ほど制御力を持っていないにもかかわらず、フォローできないのに嘘にディティールを加えていって、嘘に酔う描写にかなり冷や冷やさせられる。しかし、2作とは別の意味で、その嘘が現実を浸食して……ニコラの夢想は、現実の描写からいきなりシフトするため、一瞬足場を見失う。2008/05/22
みゆみゆ
1
誰でも、もし自分が悲劇のヒロインになってしまったらって、考えたことあるはず。でもそれは現実では起らないことだって分かっているから、妄想の中で楽しむ。少年のウソと妄想と現実が上手くかみ合ってドキドキしました。 20年後生きていてくれて良かった。2013/01/14
ハミーネス
1
思ってたのとちょい違った。もっと痛々しく残酷な話かと思っていた。サラリと書かれている。薄氷を踏むような心理描写はうまい。 が、やっぱりピンとこない。2011/11/06
水蓮
0
再読。2008/11/16