内容説明
感受性の鋭い、内気な少年ニコラ。スキー教室参加をきっかけに、予期せぬドラマが次々と展開する。謎、怪奇、犯罪…少年の白昼夢はリアルで、読者は夢想の世界だけであってほしいと願うのだが…。少年特有の心象風景と避けられない人生の悲劇を、抑制のきいた文体で鮮烈に描いた傑作。仏・フェミナ賞受賞のベストセラー。映画化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
読書家さん#2EIzez
4
少年ニコラがスキー教室にクラスメイトと二週間過ごす予定が。現実と幻想をおりまぜていますが、じぶんの頭の中を口にだすことは十分でなく、行動にもしません。 簡潔な文体が美しいとまえがきにあっておすすめしたいです。 誰しも幼い頃に覚えのある、恐れや不安、疑心気持ちが蘇るでしょう。スキー教室という団体行動や雪という少し特別な設定からニコラの白昼夢を通して特殊なニコラの人生にじふ んを重ねることができました。 2025/02/09
すけきよ
3
これまで読んだ2作が、嘘、妄想が現実を捻れさせ、それが事実に成り代わってしまう話だったけれど、本作はそこまで夢想力は強固ではない。しかし、少年ならではの、不幸になるが故の優越感妄想、思春期前の同性への憧れの夢想が生々しい。また、ニコラは『嘘をついた男』ほど制御力を持っていないにもかかわらず、フォローできないのに嘘にディティールを加えていって、嘘に酔う描写にかなり冷や冷やさせられる。しかし、2作とは別の意味で、その嘘が現実を浸食して……ニコラの夢想は、現実の描写からいきなりシフトするため、一瞬足場を見失う。2008/05/22
みゆみゆ
1
誰でも、もし自分が悲劇のヒロインになってしまったらって、考えたことあるはず。でもそれは現実では起らないことだって分かっているから、妄想の中で楽しむ。少年のウソと妄想と現実が上手くかみ合ってドキドキしました。 20年後生きていてくれて良かった。2013/01/14
ハミーネス
1
思ってたのとちょい違った。もっと痛々しく残酷な話かと思っていた。サラリと書かれている。薄氷を踏むような心理描写はうまい。 が、やっぱりピンとこない。2011/11/06
水蓮
0
再読。2008/11/16
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