グロテスク

グロテスク

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  • サイズ B6判/ページ数 274p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784309201771
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

イギリスの田舎の古い荘園屋敷クルック。その主人である老古生物学者サー・ヒューゴー・コールは大脳の発作により植物人間と化し、車椅子の生活を余儀なくされていた。「あの悪魔のような男フレッジを新しい執事に妻が雇わなければ、私も車椅子に座っていなかっただろう」妻と執事の仲を疑い、事実に妄想の混ざりこむ老人の話は、やがて屋敷を崩壊へと導く1つの殺人事件を語りはじめる…。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mejiro

10
「信頼できない語り手」もののゴシックミステリ。語り手はジェントリ。現在の彼は意識はあるが、植物状態。コミュニケーションが絶たれ、自己に閉じ込められた主人公の思考は、もとの偏狭な性質と相まって暴走する。朽ちた雰囲気、病んだ心から生まれる歪んだ世界は、小説ならではの醍醐味がある。彼の身近で起きた殺人事件以上に、一見客観的で冷静にみえる語りが怖い。彼が見たことと妄想がないまぜになって現れる情景は、じつにグロテスク。闇に呑まれるような結末だった。2015/04/08

ルミ

3
語り手は荘園屋敷の主人である老古生物学者。脳に重大な損傷を蒙り、周囲には知覚や考える力がないと思われている。新しい執事夫婦が屋敷に来てからの「余は如何にして植物人間となりし乎」という顛末を、ツイードのスーツを着て車椅子に座った男が語る、妄想や幻覚めくお話。殺人事件が起こるがミステリというわけでもなく、英国風のブラックな笑いに満ちたグロテスクな幻想小説。マグラアは映画「スパイダー」公開当時文庫を読み、去年短篇集を手にして本作が3冊目、スティングが執事役の映画は未見である。2018/01/20

Mark.jr

2
「ねじの回転」直系のサイコサスペンスを軸に、古き良き大英帝国の没落を、(タイトル通り)グロテスクかつシニカルに描く、ニューゴシックの旗手と呼ばれるにふさわしい作品。2020/06/15

hagen

2
推理小説仕立てではあるがそう簡単ではなさそうな物語の作りになっている。主人公の貴族の持つ嫉妬や恨みつらみが鬱積するうちに妄想とも思える狂気の世界が展開されていく。決して解決しない人の奥深くのドロドロとした情念の世界が何の解決を待たずに淡々と語られる。登場する人物の描写が緻密に形成されているので、話の中にどんどん引き込まれていく。

勉誠出版営業部

2
パトリック・マグラアの『グロテスク』を読了。植物状態に陥った男性の、事故前後を回想する、ある種の妄想録。彼の言っていることが「真実」なのかは最後まで疑わしく…。後半がホラー。2016/11/24

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