内容説明
妖しくめくるめくナボコフの魔術的世界。「ロリータ」の原型とされる幻の問題作、ついに刊行。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tonex
34
『ロリータ』の原型とされる幻の問題作。もともとナボコフが亡命先のパリでロシア語で書いたものだが、長らく破棄されていたと思われていたところ、20年後に草稿の山に埋もれていたのが発見され、その30年後にナボコフの子息ドミートリ・ナボコフが英訳し出版、その5年後に日本語訳の本書が刊行され、その25年後にやっと私が読みました。▼あまり面白くない。何を言ってるのか意味がわからない文章が多い。翻訳者ですらよくわからない部分があるらしい。ナボコフの熱狂的ファン。又は研究者、又は真正のロリコン向け。ということで斜め読み。2016/05/31
勉誠出版営業部
4
ウラジーミル・ナボコフの『魅惑者』を読了。代表作『ロリータ』の断片的アイディアを小説化したような作品。後の『ロリータ』や、同じ題材を取り上げた『カメラ~』とは異なって、かなり抽象的。2013/09/10
azimuth
4
『ロリータ』とこの「魅惑者」は、まったく同じテーマで同じ作家が長編と短編を書いたらどうなるか、ということを示すわりと貴重なサンプルじゃないか。「魅惑者」は断然抽象的で限りなく詩に近い。正直一読しただけではよくわからんかった。『絶望』に通ずるような箇所がところどころに見られたが、ロシア時代のナボコフはこんな感じなんかしら。2011/12/19
hikarunoir
3
ロリータよりフェティッシュで、オブセッションのなさ故により異常で、破滅の過程もノワーリッシュ。主人公の風貌はハンバートよりナボコフ似。2016/06/11
よの字
3
あらすじは『ロリータ』と殆ど同じであるが、主人公(語り手)の異常さはハンバート・ハンバートを遥かに凌ぐ。その思考の飛躍についていけないことも暫し。2010/09/26