ゴーレム

ゴーレム

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  • サイズ B6判/ページ数 376p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784309201450
  • NDC分類 943
  • Cコード C0097

内容説明

プラハのゲットーを舞台に、ユダヤ密教の粘土人形ゴーレムのヴィジョンを通して描かれる、一人の青年の魂の彷徨とその浄化の物語。ポー、ホフマンの流れを汲む怪奇幻想文学の古典的名作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三柴ゆよし

20
ゲットーを彷徨う不死の怪物ゴーレム。彼は人々を導く救世主なのか、それとも……。基本ラインは、みんな大好き自他の境界が溶け合う系の幻想物語。序盤、弩級の幻想シーンがあり、最後にはある種のどんでん返しが待ちうけているものの、それ以外は静かに、ユダヤの隠秘思想やら、まことしやかに語られる噂話やらを交えつつ、ゆるゆると進む。昼なお暗いユダヤ人街とそこに住まう陰鬱な住人たちは、埃のごとく堆積した歴史の重みに押しつぶされているかのようであり、古都プラハの暗黒面を垣間見せてくれるという点で特筆すべき小説といえる。傑作。2012/04/11

きゅー

16
ミステリ要素を絡めつつも、超常的な力を持っている人物、典型的な悪役、復讐の人など個性的な人物がそれぞれの思惑を胸に登場する。中盤辺りから「ゴーレム」の意味がうっすらとわかってくるが、これがまったく予想外の展開。予想外といえば終盤でもどんでん返しが起こり「そんな乱暴な!」と思う一方で、これもありかななんて納得している自分もいる。夕暮れ時がいつまでも続くような物語だった。表通りから路地裏へ、現在から過去へと黄昏てゆくこの物語は、プラハという重くなった歴史を積み重ねた町だからこそ成り立つものなのかもしれない。2013/04/22

misui

12
ゴーレムが現れるというゲットー(ユダヤ人街)を舞台に、記憶を失った主人公ペルナートは、街の様々な人々に関わることで己を発見していく。ゴーレム伝説、入り口のない部屋、酒場、タロットカード、夢、カバラ…などなど、ユダヤの秘教的な雰囲気に幻惑させられる。が、どうにも盛り上がらない展開に焦れに焦れた。格段描写がいいわけでも人物が面白いわけでもなく、ではボルヘスが愛読した本書の魅力とは何だろうと思っていたら、最後の最後に物語を壊しかねない結末が待っていた。これには唖然。幻想小説はこういうことするから油断ならない。2012/03/24

k16

6
入魂泥人形の話かと思いきや全然違った。 ユダヤ人街ゲットーで不思議な体験をする過去の記憶を失った男の話。 ユダヤ、カバラ、錬金術というようなキーワードにあまり馴れてないので戸惑う。 終章では本編の矛盾箇所に訳者の突っ込みが。2020/09/25

刳森伸一

4
古くはゲーテの『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』などに通じるドイツ的な教養主義小説の流れに、神秘主義的な精神成長を組み込んだ幻想奇譚。この種の小説に良くあることだけど、結局のところ何が言いたいのか良く分からないのに、読んでいる時は夢中になってしまい、再読したくなる。翻訳の問題なのか、物語と比べて語り口が軽いように思えるが、そこは御愛嬌か。2017/07/29

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