内容説明
生命の樹を植える誕生日に核戦争は起こった。タルコフスキーが、彼の遺作となった「サクリファイス」撮影のため、自ら書いた原作小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tow
7
詩を連ねた感じの小説か。文字で追っても脳内では映画が再生される。2017/03/31
ドロレス
6
30歳の時下高井戸シネマで初めてサクリファイスを見て、冒頭のマタイ受難曲からずっと2時間号泣していた。人生唯一の異常な映画体験だった。それからキリスト教を受洗し神学部までいきカトリックに転会し、1000本は映画を見たが2度と同じ感動を得ることはなかった。彼ほどキリスト教の供犠=犠牲=サクリファイスについて真剣に切実に考えた映画人、いや芸術家は一人もいない。
金北山の麓で育って
4
映画の原作(監督自身が書いた)です、映画を観てから読むのでイメージ豊富に読めます。映画がイメージの奔流で筋が(微妙に違いますが)よく解らなかったのが、筋なりテーマがスッキリ伝わりました。でもスッキリ解らない方がなんだかよく解らないゆえの神秘性でありがたがったりもするわけです、例えたら「2001年宇宙の旅」も原作を読むとけっこう分かりやすい単純な話でスッキリするけど、逆にありがたみが減って残念な感じになりますよね、あれと同じなのかな?短くて読みやすかった。2019/09/20
kentaro mori
3
⚫︎「どうした?怖くないよ!怖くないさ、坊や!死なんてないんだから。あるのは、実際、死の恐怖だけさ。この恐怖はとても忌わしいもので、そのため、多くの人は、してはならないことをしてしまう••••••いいかい、みんなが死を怖がらなくなれば、すべてがすっかり変わるんだ、そうだろう?」⚫︎「主よ!この恐ろしいときに、私たちをお救いください!••••••私の子供たちと友人たち、妻、そしてヴィクトルを滅ぼさないでください!みなを救ってください、あなたを愛し、あなたを信じる者も、また盲目であり、あなたのことを考えたこと2024/12/10
MO
3
映画は何回か見たので、場面やセリフを覚えている。読む前には、もう観ている映画のシナリオを見て面白いのだろうか、と自問したが全くの杞憂でした。映画はロシア語もわからないし、字幕の制限もあるので細かな言葉の違いは気にする所ではないけど、明らかに場面が違うところがある。タルコにとて映画が表現の完成形なのでそちらを受け止めるのが正解なのだろうけど、変更点を見ることによって、彼の意図や意味付けが明確になって一層、映画への理解が進んだ。映画内で気になっていた点も納得できた。2021/03/07