出版社内容情報
すべてはここからはじまった――幕末から大正にかけて、未知の土地・北海道にわたり、近代都市・札幌を作った、島義勇、内村鑑三、バチラー八重子、有島武郎、岡崎文吉の熱き物語!
内容説明
幕末から昭和にかけて、未知の北海道で生きた5人の男女。初代開拓判官・島義勇を筆頭に、新渡戸稲造らと札幌農学校で学んだ内村鑑三、アイヌ民族の有力者の娘に生まれ、のちにアイヌの同胞を鼓舞する歌集を出版したバチラー八重子、流行作家と農場経営との二足の草鞋の果てに自ら農地を解放した有島武郎、蛇行する暴れ川・石狩川の治水に取り組んだ岡崎文吉。それぞれの熱き開拓の物語に迫る、大型エンターテインメント!
著者等紹介
門井慶喜[カドイヨシノブ]
1971年群馬県生まれ。同志社大学卒。2003年「キッドナッパーズ」で第42回オール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2016年『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』で第69回日本推理作家協会賞、第34回咲くやこの花賞受賞。2018年『銀河鉄道の父』で第158回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
178
門井 慶喜は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。建国意識に燃えた骨太の長編小説かと思いきや、初期の札幌および北海道に纏わる連作中篇集でした。オススメは、「開拓判官-島義勇-」&「流行作家-有島武郎-」です。 https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309039480/2025/04/25
まーくん
105
短期間ながらも若かりし頃、一時期を過ごした街札幌。考えてみれば札幌は近代の街。一人の英雄によって拓かれた街ではない。従って街の創成を語るには群像を以って語るのが相応しいのか。開拓判官島義勇、キリスト教思想家内村鑑三、アイヌの歌人バチラー八重子、作家有島武郎、治水技術者岡崎文吉の5人の物語を連ねて、この原野を切り拓いて創られた街と人の成立ちを語る。佐賀藩の島義勇は開拓判官に任命され実質開拓使の長として僅か3ヶ月で現在の札幌中心部の区割りとその道路建設を成し遂げる。が、上司の公家と合わず解任され政府を去り⇒2025/04/20
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
92
(2025-68)【図書館本-52】幕末から昭和にかけて、北海道、特に札幌に関係の深い五人の偉人達の物語。名前を知る人も初めての人もいた。初代開拓判官であった島義勇は、正直江藤新平と起こした佐賀の乱の印象しか無く、僅か数ヶ月とはいえ札幌建設の礎を築いた人とは知らなかった。またアイヌの歌人、バチェラー八重子や、石狩川の治水工事を行なった岡崎文吉に至っては初めてその人を知った。北の大地を築いた人々を知る良い機会になった。★★★+ https://bookmeter.com/communities/3381792025/05/12
のぶ
80
幕末から明治にかけての北海道開発の歴史が、そこに携わった5人の人物から人生、事績、生きた時代が描かれることになる。その5人は島義勇、内村鑑三、有島武郎、バチラー八重子、岡崎文吉。知らない人物もいたが、内村鑑三と有島武郎は知っている業績とは違って、まさかこんな仕事に関わっていたとは思わず、興味深かった。初めて聞いたのはバチラー八重子と岡崎文吉で、バチラー八重子はアイヌ語も交じる短歌を発表し、岡崎文吉は土木技師で、石狩川の治水工事等に取組んだ業績が知られるという。門井さんの得意分野の作品で面白く楽しんだ。2025/04/23
tamami
73
江戸末期から明治時代中期まで、札幌に象徴される開拓時代の北海道を切り開いた、島義勇、内村鑑三、バチラー八重子、有島武郎、岡崎文吉の5人の先人に絞って、伝記的事蹟と足跡を辿る。当時の北海道と言えば、和人に搾取されるアイヌの人々という図式が頭を過ぎり、興味を削がれがちであったが、本書を読みその一端を払拭できたように思う。新聞小説の体裁は大変読みやすく、札幌の礎を築き、その発展に粉骨砕身した先人の思いに馳せながら読了する。また日本各地から集った人々によって一大都市が築かれたことに、明治という時代の不思議を思う。2025/05/14