感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
116
揺らめく一冊。初読み作家さん。なんとも不思議な、揺らめく鏡を眺めているような、そんな時間だった。坂と崖に囲まれた故郷を十年ぶりに訪れた主人公の「わたし」。彼女の視点で淡々とつづられていく文章は、やめ時を失うある種の吸引力がある。故郷という思い出の地を彷徨う傍らで彼女に語りかけてくるのは、死んだはずの幼馴染のキイちゃん。「わたし」の何が現実で、正で否かどっちつかずのような掴めない世界観。次第に心を占めてくる不気味さと危うさ。白く眠るもの。つまり…、やっぱり?揺らめく鏡がようやく静止。そして、ぱりんと割れた。2025/03/24
シャコタンブルー
51
十年ぶりに訪れた故郷で「わたし」の記憶が甦る。崖と坂に囲まれた町で過ごした日々それは「加害者」としての痛み苦しみ悲しみの思い出だ。幼馴染のキイちゃんとの会話では二人の記憶が全く異なる。その奇妙な食い違いが得体の知れない怖さと面白さを醸し出している。もはや何が真実で何が嘘かは些細なことのように思えてくる。霧の中で彷徨いながらもその状況を楽しんでいるような気持にもなった。白くねむるものそれは恐竜の化石だろうか、それともキイちゃんの・・2025/01/13
かみぶくろ
40
3.7/5.0 ぼんやりとした一人称で話が進むが、途中からわたしをおまえと呼ぶ人物が登場し、掛け合いをしながら過去の話が語られる。ただわたしの記憶は曖昧で、誰が本当に存在しそもそもわたしは誰でその認識は正しいのか、すべてが不確かなままである。郷里の舞台設定もどこか彼岸を思わせ、また曖昧に語られるエピソードも暴力と死の気配を漂わせており、不穏な世界観が構築されている。あまり経験のない読み口で、興味深かった。2024/11/28
よこたん
38
“それから、あなたのことを思いだした。” 立ち止まったままのような日々が、特異な出来事が引き金となり、ながらく離れていた故郷を訪れることに。探すのはキィちゃんの墓。わたしとあなた、おまえとおれ、キィちゃんにゆっくりと近づいていくような対話は、絶妙な視点のズレと揺らぎで進む。何が実際にあったことで、何が思い込みなのかもはや定かではない。骨を見つけることで答えは見つかるのだろうか。読んでいて、体温と血圧が下がるような感覚に陥った。寂寥感いっぱいで、楽しくも好きでもないのに、不思議に心に居座られる感覚があった。2024/12/31
小太郎
29
10年ぶりに墓参りで故郷を訪ねることになった私のモノローグという形をとった物語。パラノイア的な語り口や曖昧に語られる過去の出来事、キイちゃんという幽霊?などが混然としていて、これは感想が書きにくい作品です。観念的な小説というのは読み手の想像力が試されると思うのですが、残念ながらこの本では私の想像力が追い付かなかったのかもしれません。ただ読んでいる間、文章の切れ間から題名の様な「光のそこで白くねむる」という感覚が感じられたのも事実でした。再読が必要かもしれません(笑)★32025/05/02
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