内容説明
遠藤若き日の発掘作品を中心に、人生の同伴者である神の存在を浮き彫りにし、祈ること、愛すること、生きることの意味を探り、遠藤文学のあらたな魅力に迫る、至高の作品論!最新の遠藤年譜収録!本を読むということは、その作家と作品に火傷すること―。
目次
第1章 留学―小説家として生きていく
第2章 初期短篇から見えるもの―「砂の上の太陽」「沈黙の声」「アラベスケ」
第3章 人生の同伴者たち―「稔と仔犬」
第4章 遠藤文学における象徴―もう一人の登場人物
第5章 作品の種―「夜と霧」
第6章 「狐狸庵」と「遠藤周作」―ユーモアを考える
第7章 名もなき人の声を聴く―「無名のヴァイオリニスト」
第8章 遠藤周作の日記―貫かれた神への問いかけ
第9章 遠藤周作の戯曲―「善魔」について
著者等紹介
今井真理[イマイマリ]
1953年、東京生まれ。聖心女子大学国語国文学科卒業、同大学院修士課程修了。文芸評論家として、多くの遠藤周作企画展に携わり、また遠藤作品の解説を執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
フロム
2
ようやく理解できたけど遠藤周作は自己憐憫が酷い「弱い人に対する優しい視線」が氏の特徴だが彼の想定する弱者は自身の投影であり「神は何故助けてくれないのか?」と言うのは「苦しい俺は何故救われないのか?」と同義語である。もっと言えば「俺はなんでこんな悲惨なんだ」とか心の奥底で思ってる気がしてならない。そう考えると彼の独特のキリスト教観も納得いく。遠藤にとって他者は自己の拡大であり舞台装置にすぎない。彼の中では「彼」と「母」しかいないのだ。 普遍性があると見せかけて実は極めて私的なんじゃないかなからの作品群は2025/02/12
Go Extreme
1
作家と作品:道化の泪 沈黙の声 砂の上の太陽 アラベスケ 稔と仔犬 善魔 無名のヴァイオリニスト テーマと内容:信仰の葛藤 神の沈黙 人間の苦悩 孤独と癒し 異文化理解 道徳的ジレンマ 無名の存在 愛と信頼 倫理的選択 文学技法:内面独白 対話形式 視覚的イメージ 簡潔な文体 抒情表現 物語構成 比喩 象徴的描写 影響と背景:フランス留学 モーリャック グリーン サド アウシュビッツ体験 日本人の信仰観 現代的意義:普遍的テーマ 文学と宗教 無名の声を聴く 人間中心視点 罪と贖罪 共感の重要性 信仰と現実2025/03/05