出版社内容情報
【目次】
内容説明
薄霧のたちこめる宅配所。粛々とはたらく作業員たちのあいだで、レーンに流れてくる無数の荷物を仕分ける安。一日中、ほとんど誰とも口をきかず、箱の中身を妄想することで単調な労働をやり過ごすうちに、箱の中身と妄想の「答え合わせ」をしたいという欲望が安を蝕んでいく。あるとき思いもよらぬ理由から、決して開けることの許されない箱の中身を覗きみることに成功すると、たしかにあったはずの箱が次々と消えていくようになって―。新時代の〈労働〉を暴くベルトコンベア・サスペンス。第62回文藝賞受賞作。
著者等紹介
坂本湾[サカモトワン]
1999年生まれ。北海道出身。2025年、本作で第62回文藝賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ユウハル
12
読んでいて目の光がなくなって行くのがわかるぐらい暗黒な作品。頭の中のことを文章にするとこうなるのか、ここまで一息に捲し立てるのかと驚きもあった。暗くなるのにここまで一気に読ませる力はすごいと思った。2025/11/15
ふわりん
6
何をどう書けばこの読後感を表せるのか、始終読まされてた感があった。とにかく一貫して暗くて重い物語で、登場人物も一つ間違えば精神障害を疑われそうな人たちばかり。共通するものが底を流れてる気がして、私は読みながらずっと「降りる人」を思い出していた。それにしても宅急便の仕分けを今も手作業でやってるってことがあるのかな、よくTVで見るのは完全機械化されてほぼ人間がいないとかロボットだけがせっせと働いてる光景だけど。とにかく気持ち悪い描写が続くのにほぼひと息で読んでしまったのは確か、その筆致は上手いとしか言えない。2025/11/26
黒猫堂▽・w・▽
4
坂本湾さん「BOXBOXBOX」読了。霧の立ち込める物流工場。正規と非正規がはっきりと隔てられ霧のためお互いの姿さえはっきりと見えぬ中で流れてくる箱の担当番号を頼りに作業を進めていく非正規の作業員とそれを管理する契約社員。彼女は工場内で荷物が盗まれているらしいことに気づいているが…2025/11/22
GYONIC
2
登場人物達の視点の切り替わりが曖昧だな…と思いながらも文量自体は多くないので一気に読めた。 何かを得たような感覚もなく、ただただ無を掴まされたような作品だが、これも労働の一つの視点として納得は出来る2025/11/26
かさい
2
登場人物たちの視点変化の境界が不明瞭だなと思って読み進めたところで終盤の4人まとめてを「私」で表す演出。かっこいいな。 80ページ弱の文章の中に人間の苦しみだったり、ただただ続いていく仕事が脳を殺す感じだったり、それでいて単に悲痛な展開にするわけでもなくそれぞれがエンディングに辿り着いている。作者は1999年生まれ、驚嘆。 読んでいて雨の日のダンボールの臭いとか思い出しちゃいました。2025/11/25
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