出版社内容情報
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優美さに内包する痛み、気高く眩い光を放つ言葉の乱反射。第一歌集『Lilith』から4年、いま最も注目される歌人・作家の第二歌集、ついに刊行!
内容説明
オフィーリア、もう起きていい。死に続けることを望まれても、オフィーリア。優美さに内包する痛み、眩く光を放つ言葉の乱反射。何者にも脅かされない気高き「言葉」のユートピア。祝福の第二歌集、ついに刊行。
目次
第1部 鏡と神々、銀狼と春雷(燃ゆるものは;合はせ鏡を;八月の嵌め殺し ほか)
第2部 航行と葬送(訳詩集;銀幕にスノードーム―タル・ベーラ『ニーチェの馬』に寄せて;冬の氷菓 ほか)
第3部 繻子と修羅、薔薇と綺羅(地上のアリス;テディ・ベアを抱きしめて;party talk ほか)
著者等紹介
川野芽生[カワノメグミ]
1991年神奈川県生まれ。小説家・歌人・文学研究者。東京大学大学院総合文化研究科単位取得満期退学。2018年に連作「Lilith」で第二九回歌壇賞受賞。第一歌集『Lilith』(書肆侃侃房、2020年)で第六五回現代歌人協会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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あや
30
川野芽生さんの第二歌集。第一歌集が素敵だったけど難解だったので、第二歌集の方がわかりやすくて助かった。独特の詩世界を持つ方。長らく詩や小説を書いてきた方ならではの一首への物語の込め方がある。 花があれば花の病があることを心あるところに肉体は/モノクロの映画を観むと闇に入る喪服の色の裳裾を曳きて/窓の辺に座しいつまでも見ておれば正気より身を護る術なし/はりぼてのお城に集ひ復習の謀(はかりごと)するごとくはなやぐ/いかなる神の前へもこの姿でゆくよ。海のフリルが白さを増して2024/07/30
ゆう
13
よかった。おとなのアリス連作が収められていて嬉しかった。幻想的だが写実的な歌が多く、葛原妙子の写実的な歌が反写実として評価されたことを思い出した。例えば「太陽の菌糸に搦め捕られたる少年、銀の珠を噴き出し」は山尾悠子「パラス・アテネ」の土地神や狼領の人々を思い出させるが(私だからか)、実際はなんのことはない、太陽の光線に灼かれた肌に汗が浮きだす情景のこと。幻想的な作品も半分くらい収録されているが、川野芽生の現実に根を下ろしながらも夢見るような歌が好きだ。第一歌集『Lilith』をもう一度読んでみよう。2024/09/01
rinakko
6
美麗な装幀を愛でつつ。以前から『地上のアリス』は愛読していて好きな歌が多い。〈求婚者を鏖(みなごろし)にする少女らに嵐とは異界からの喝采〉〈獏園に陶の枕は置かれゐて夢を生み出す機械、われらは〉〈恐竜を象る指輪失せにけり。わが指啖ひ受肉したるや〉〈月かげを脳(なづき)へと吸ひ上ぐるごと涼し額(ぬか)より角伸びゆくは〉〈反逆のひとつと思(も)へりこのほしに亡国の姫として在ること〉〈自分ひとりの部屋のやうなるうつくしき衣服の中に立つ(なんどでも)〉〈退廃の美、と告げて駅の灯にかざすマニキュア剝げてゐたるを問はれ2024/08/20
氷沼
3
川野芽生さんの第二歌集、直筆サイン・短歌入り。 帯に謳われた『オフィーリア、もう起きていい。 死に続けることを望まれても、オフィーリア』 が内容の全てを現していると思う。 普段は歌集は読まないが、川野芽生さんの歌集だから読んだ。2024/08/04
里十井円
3
花があれば花の病があることを心あるところに肉体は/身のうちに水晶育ちゐるごとし初冬を骨ひからせて耐ふ/おとなになつて、少女らはおとなになつて、完璧な少女になつたのでした/ロ、リー、タ、とぼくらを呼んだ千の舌を灼いてまた名乗ろう、ロリータを/〈この賞は若い女性が多いから華やかでいい〉はなやかな墓2024/07/28