内容説明
ジブチとリヨン。悪魔的な二つの街で作家は神の声を聴こうとした―。『沈黙』につながる貴重な表題作ほか、創作体験と作中人物、文学と聖書に触れた講演録も収録!
目次
1 沈黙の声
2(ある仏蘭西人の家庭と;幼年の頃の二月 ほか)
3(ブラック・ユーモアを排す;テレビと人間―フマジメと視聴率の関係 ほか)
4(神の存在;日本人と母親 ほか)
5(自分と出会う―キチジローは私だ;自作再見―『スキャンダル』 ほか)
6(創作体験と作中人物;私の文学と聖書)
著者等紹介
遠藤周作[エンドウシュウサク]
1923年、東京生まれ。幼年期を旧満州大連で過ごす。神戸に帰国後、十二歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒業。50年から53年までフランスに留学。一貫して日本の精神風土とキリスト教の問題を追究する一方、ユーモア小説や歴史小説、戯曲、「狐狸庵もの」と称される軽妙洒脱なエッセイなど、多岐にわたる旺盛な執筆活動を続けた。55年「白い人」で芥川賞、58年『海と毒薬』で新潮社文学賞、毎日出版文化賞、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞、79年『キリストの誕生』で読売文学賞、八〇年『侍』で野間文芸賞、九四年『深い河』で毎日芸術賞、九五年文化勲章受章。九六年、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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peace land
5
キチジロウが自分だというところに、納得できるものがあった。膨大な資料から作り上げて編集が大変だったろうと思った。2024/11/20
BluePlanet
3
★4.1(4.0)2024年8月発行。遠藤周作初期エッセイ集。大学卒業後リヨンへ留学。この留学時代が彼の小説家としての人生を決めたのだろう。最初の沈黙の声は読みにくかったが、それ以降は彼の初期から晩年にかけての様々なエッセイで、彼の人となりが良くわかる内容でしたね。今井真里氏の解説を最初に読んでおくと良かったかも。遠藤周作氏の著書を読む楽しみが増えました。それにしても遠藤龍之介氏は父親の遠藤周作氏とかなり似てましたね。2025/01/29
T
1
この作家の著作は95%くらい読んでると思うけど、この出版社がまた新しい形で出版してくれているみたいだから、しばらく、おつきあいし直したい。 P204 作中人物が自分のプラン通りに動いてゆく小説は、いけない小説だ。つまり作中人物が生きていない証拠である P211 ある小説家の小説を幾つも読んでいくうちに、その人の人間についての見方の眼鏡をもらうことができる。その眼鏡をかけてみると、きのうまでは黄色く見てたものが、別の色に見える、その新しい眼鏡をもらったという喜びが、まあ小説を読む喜びでありましょう2024/10/17
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