内容説明
怪異蒐集の先学を再発見せよ。透視から千里寄せまで、心霊怪異の実見談全50余話。先駆的名著を新字新仮名遣いで復刊!柳田国男「作之丞と未来」も併録。
目次
溺死体を捜し出す神符
透視された怪火災
神仙の楽音(実例二)
飛んで来た黄金の魂
猛火の中を飛び出した仏像
神木伐りの禍殃
漁夫に国宝視される千里眼
血ヘドを吐かされた盗人
位牌に来た四疋の怪蝶
日本一の化物屋敷
床前から出た怪語
物品の千里寄せ
水神は赤蛙
巻物の昇天
遭難ケ所の神託
米粒の道案内
群馬県の怪人(実例二)
学者の降参(実例二)
ナメクジの空中渡り
樹上の怪屍体(実例二)〔ほか〕
著者等紹介
岡田建文[オカダケンブン]
1870年代半ばに島根県に生まれる。号・蒼溟。心霊研究家・怪談蒐集家。『大阪新報』『松陽新報』で新聞記者を務めた後、松江で隔週誌『彗星』を創刊、心霊研究を進める。大本の出口王仁三郎と親しく交わり、怪談蒐集で柳田国男の信任を得た。1945年、東京空襲により罹災死(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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志村真幸
2
1936年に慈雨書房から出たものの復刊。 著者は戦前に活動した心霊研究者/民俗学者。 本書には、同時代に全国から集めた怪談や不可思議な話が50篇あまり収められている。 水死者の沈んでいる場所を探り当てる方法、ポルターガイストのような事件、狐に化かされた話、行者の験力、大鰻のたたりなど。 いずれも実際に起きた出来事として語られており、著者の分析や解説は入らない。 怪談集としても、民俗学の資料としても読める点が貴重。 2024/11/10
holy river
0
昭和初期に発刊された、怪異実話譚。島根県出身の著者が蒐集しているためか、松江や出雲周辺の話がやや多い。大本教の出口王仁三郎とも親交があり、何度かインフォーマントとして登場する。 ”この話は疑いのない事実である”と断じるところ等、当時の心霊科学の影響をもろに受けており、現在の実話怪談の語り口とはかなり隔たっている。また、外国文化の流入により、日本古来の伝統や文化が失われるのでは、という危機感が背景にあるところは、栁田國男等とも共通するように思う。