内容説明
「桃尻娘」を特別な傑作としてこよなく愛する著者が、『草薙の剣』「昭和三部作」など、“日本現代文学の最重要作家”のほぼすべての小説・戯曲を読みほどき、新たな地図を提示する本格評論、誕生!!
目次
第1章 橋本治と日本語の言文一致体
第2章 小説を語る声は誰のものなのか?―「桃尻娘」シリーズ全6部
第3章 関係ない他人の幸せを描こう―『蝶のゆくえ』その他の短編集
第4章 私たちの百年の戦記―『草薙の剣』
第5章 四つの家の物語―『巡礼』『橋』『リア家の人々』
第6章 その他の小説・戯曲一挙解説
著者等紹介
千木良悠子[チギラユウコ]
作家・劇作家・演出家。慶應義塾大学在学中、短編小説「猫殺しマギー」を発表する。以後、小説やエッセイの執筆を行う。2011年、劇団「SWANNY(スワニー)」を旗揚げし、多数の演劇作品を上演。2018年から2022年までドイツ・ベルリンに滞在して活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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くさてる
18
著者と同じく多感な少女期に橋本治と出会い、大きな影響を受けたあと、大人になっても彼の作品を読み続けた人間なので興味深く読んだ。納得、共感できた部分も多い。けれど文中に「ジブリ映画の少女のようにサービスでパンツを見せたりしない」という箇所があり、そんなジブリ映画を見たことがないこの身としては、こんな安易なイメージで他者の作品を評価するひとに云われても……という思いにもなりました。あの作品量と多分野にわたる活動をした橋本治という巨人、ぜひもっとたくさんのひとに論評し、作品を再評価してもらいたいと思います。2024/04/21
阿部義彦
17
私が橋本治を知ったのは確か高校時代に買っていた漫画ミニコミ『ぱふ』での萩尾望都や大島弓子論だったような、あとは『ビックリハウス』だとか、今回この本ではその著作のノンジャンルな無尽蔵さには、圧倒!とりあえず桃尻娘全作と晩年の長編4作では、『草薙の剣』と『巡礼』は読んでたので安堵!しかし、本格物(源氏、平家)や歌舞伎、浄瑠璃、チャンバラ関係はほぼ未読。この本では時評、エッセイには余り触れてないのが寂しい、「貧乏は正しい」「宗教なんかこわくない」には勇気づけられました!漫画もどきも大好きです。絶版多すぎが無念2024/05/16
garth
11
橋本治の全著作のテーマは近代自我の確立だと思っている。なんだか読んでいると橋本治のキャラクターの名前に「●生」というのが多い気がするのだが、そういうことはあるのだろうか。2024/05/27
チェアー
7
ファンブックでもあり、橋本治の小説の評論集でもある。 作家は初作にすべてが含まれている、と聞くが、それに例えて言うなら、「桃尻娘」はやはり時代の金字塔であったと言うべきだろう。とにかく「作品を読め」だ。 。 2024/08/30
amanon
6
かねてから橋本治氏はもっと正面から取り上げて論じられるべき作家だと思っていたが、ようやくまとまった橋本治論が世に出たことをまずは喜びたい。また、初めての橋本論として、恐らくこれ以上の内容のものは望めないのではないかというくらいに充実した内容。とにかく著者の橋本愛に溢れているのに好感が持てる。とりわけ著者の「桃尻娘シリーズ」との出会いから、橋本治にのめり込んでいくプロセスが熱い。いみじくも同じく中学時代、不順にもポルノ映画絡みで『桃尻娘』に興味を抱いたものの、結局スルーした者として、一抹の羨ましさを覚えた。2025/03/17
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