内容説明
アフリカのどこかと日本のハーフで、昔モデルやってて、ゲイらしい―スポーツブランドのスタッフ専用ジムで整体師をするジャクソンについての噂。ある日、彼のTシャツから偶然QRコードが読み取られ、そこにはブラックミックスの男が裸で磔にされた姿が映されていた。誰もが一目で男をジャクソンだと判断し、本人が否定しても信じない。仕方なく独自の調査を始めたジャクソンは、動画の男は自分だと主張する3人の男に出会い―。研ぎ澄まされた視線と痛快な知恵で生き抜く若者たちの、鮮烈なる逆襲劇を描いたデビュー小説!第59回文藝賞受賞作。
著者等紹介
安堂ホセ[アンドウホセ]
1994年、東京都生まれ。2022年、『ジャクソンひとり』で第59回文藝賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
303
第168回芥川賞候補作1作目(1/5)です。主人公が著者と同じアフリカ系と日本人のミックスのため、半分私小説でしょうか❓ 第59回文藝賞受賞作だけあって衝撃的な内容、この勢いで芥川賞も受賞となるかも知れません。 しかし残念ながら、芥川賞発表の1/19迄に他の候補作は読めそうにありません。 https://web.kawade.co.jp/column/55954/ 【読メエロ部】2023/01/11
まちゃ
148
第59回文藝賞受賞作、第168回芥川賞候補作とのことで手に取った一冊。東京に暮らすブラックミックス(黒人と日本人のハーフ)たちが企む逆襲劇。面白いとか、感動とかはありませんでしたが、軽快な文章の中にマイノリティの生き難さのようなものを感じました。ジャクソン、ジェリン、イブキ、エックスの4人は容姿が似てるようですが、いま一つイメージできませんでした。これがイメージできたらもう少しすんなりと物語が理解できたのかもしれません。2023/02/05
いっち
139
ジャクソンは、アフリカのどこかの国と日本のハーフで、ゲイ。マイノリティの中のマイノリティ。ジャクソンが着ているシャツにQRコードがあり、読み込むと、ジャクソンによく似た黒人が、性的なプレイを受けてる動画だった。QRコードをきっかけに、ジャクソンに似た人間が3人集まり、ジャクソン4人。4人は、お互いを入れ替え、小さな復讐を始める。似ている人間は、相手を知らない分、復讐にためらいがない。復讐について、「一度でも親切にしてくれた人のことをはっきり敵と見なす勇気がジャクソンにはなかった」に、人間臭さがあって良い。2023/09/09
ちゃちゃ
120
ブラックミックスでゲイ、スポーツブランドのジムで整体師をするジャクソン。彼が巻き込まれた事件を通して“彼ら”の世界が抱え持つ問題性が炙り出される。出自に基づく生きづらさ、十把一絡げで見られる差別意識への鬱屈した思い、属性で判断され個としての自分が認められない憤り…。それでも“彼ら”は従順さの仮面を身につけ社会に順応せざるを得ない。タイトルの「ひとり」は、誰であろうと唯一無二のかけがえのない存在であることを示すものではないか。ラストの痛快な復讐劇には、むしろ“私たち”の無意識に潜む心の闇を見るべきなのだ。2023/03/07
☆よいこ
110
黒人ミックスで昔モデルでゲイかもしれないと噂される整体師のジャクソン。ジャクソンが着ていたシャツのプリントをスマホカメラでスキャンすると、ある動画が表示された。その動画は黒人青年が裸で縛られ卑猥な拷問を受けているものだった。動画の青年はジャクソンにそっくりで、職場の人達はジャクソンが自分で画像を拡散したのかもと疑う。同じプリントシャツは、ジェリンとエックスにも送られてきていた。ジェリンはポルノ配信をしていたイブキに相談する。黒人ミックスで高身長、似たような容姿の4人が出会い、犯人を捜す▽入れ替わり作戦2023/01/17