出版社内容情報
この人にしか書けない剥き出しの言葉で、食べることが生きることに結びつく数々のエッセイ。胸を打つ力強いエッセイを厳選収録。
内容説明
「食」をテーマにした42篇を収録。幼少期に食べた中国の味から晩年に食べた手作りごはんまで。毎日の食事を大切にしたくなる、力が湧く「食」の話。
目次
1(空から降るもの(抄)
“私たちの外界の” ほか)
2(秀才;友達 ほか)
3(トントントン;何ごちそうになったの? ほか)
4(なんだか料理を逆に作るのね;金で買う ほか)
著者等紹介
佐野洋子[サノヨウコ]
1938年、北京に生まれる。武蔵野美術大学デザイン科卒。1967年、ベルリン造形大学においてリトグラフを学ぶ。主な作品に『わたしのぼうし』(講談社出版文化賞絵本賞)、『ねえ とうさん』(日本絵本賞/小学館児童出版文化賞)などの絵本や、童話『わたしが妹だったとき』(新美南吉児童文学賞)、『神も仏もありませぬ』(小林秀雄賞)などのエッセイ、対談集も多数。2003年、紫綬褒章受章、2008年、巖谷小波文芸賞受賞。2010年、72歳永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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JADE
13
佐野さんのエッセイはこれが初読み。旧満州での幼少時代から晩年まで、「食う」ことを綴ったエッセイの寄せ集め。いわゆるグルメ本でもなければレシピ本でもない。食べてるときに周りにいた人、料理してくれた人、そんな人たちの生きざまや人間模様が多く書かれていた。ニヤリとさせられたり、ホロリとさせられたり、たまぁによだれが出たり、いろんな味わい方ができた1冊だった。絵本からは想像できなかった佐野さんのお人柄も垣間見れて、へぇ~と思った。 ☆42022/03/08
遠い日
5
大方食と食べることにまつわる、佐野洋子さんのエッセイコレクション。なので既読のものもあったが、楽しく読む。満州時代の子どもの頃の家の食卓、母の手料理の思い出、きょうだいたちとの食べ物をめぐる諍いやら、父だけ特別な料理を出されるなどは、時代を映している。戦中、戦後の食事情の世知辛さ。それでも、人は食わねばならない。哀愁を帯びた、なのに、力強い食べることへの言及が印象深い。2022/05/05
emtb
3
食べ物をテーマにしたエッセイ。笑ったり切なくなったり…。「私にはその異常な貧しい食生活が正常で、そのあとの次第に豊かになった食生活の方が異常なのだと体にしみついているのである」という一文が印象的。ホテルのシャレた朝食に貧しかった過去を忘れるなと憤る洋子さん。食に関しての記憶が鮮やかで、幼少期のことをこんなに覚えていられるってすごい。私は子供の頃の食事なんて全然覚えていない。食べることに困ったことがないからかもしれない。明らかに不味そうなサンゲタンの話が好き。人の味覚ってそれぞれだなぁと思う。2022/04/29
あるぱか
3
エッセイ特集で知った本です。色々な食の思い出についてまとめられていました。文書の内容なのか、雰囲気なのか、正直あまり美味しそうとか共感とかはなかったです。2022/04/25
chocoうさぎ
2
佐野洋子さんの数々あるエッセイから食べ物や食べる事について書かれたエッセイを集めたもの。佐野さんの子供時代の食の体験が、その後の世代からすると特別なものに感じられるが、中国での暮らしや引き上げてきてからの生活など、戦中・戦後世代ながらのご苦労があり、その中でも人はなんとか食べて生きてきたわけで、人間、最後は食べることだけなんだなと感じた。 2022/03/26