出版社内容情報
開高健の書斎、蔵書、作ったものを取り下ろしカラー写真で紹介するとともに、本をめぐるエッセイを収録。開高の知の源に迫る一冊。
内容説明
そして乱読、また乱読を、ひたすらつづけた―行動する小説家が愛した、膨大な本と書斎。フランス文学、ベトナム戦争、SF、捕物帳、釣り、酒と煙草、サルトル、ボルヘスから金子光晴、吉田健一、辞典まで。本と読書をめぐるエッセイを多数収録。
目次
1 開高健の蔵書から(乱読、また乱読;サルトルの『嘔吐』は無人島へ持っていきたい本;サルトル『嘔吐』―一冊の本;中学生から親しんだ仏文学;ベトナム、開高にとって特別な国;アジア、南アメリカ;『戦場の博物誌』直筆原稿;SFから捕物帖まで;眼をあけて読む悪夢;久生十蘭、小栗虫太郎、夢野久作 異端と幻想の小説家たち;愛読する金子光晴の本;吉田健一の奇書;傍らに言海;言海に漂う)
2 本と読書(私の始めて読んだ文学作品と影響を受けた作家;私と“サイカク”;心はさびしき狩人;『ガリヴァー旅行記』;マンガの神様・手塚治虫;続・読む;あまりにもそこにある ディストピア文学管見(抜粋)
スパイは食いしん坊(抜粋))
3 開高健が作ったもの(開高著作;オーパ!;同人誌『えんぴつ』;洋酒天国;碩学、至芸す(抜粋)
飲む(抜粋)
ヘディン
『書斎のポ・ト・フ』
ダンヒルのライターとお気に入りのパイプ
『名著ゼミナール 今夜も眠れない』から厳選30冊!
ウィーク・パイプ
眼を見開け、耳を立てろ そして、もっと言葉に……
開高健 年譜
編集あとがき
開高健記念文庫
開高健記念館)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マエダ
51
「嘔吐」が出版社を変え、紙を変え、版を変えるたびに、そのたび毎に本屋で出かけて買ってくる。そういう本があるの良いよね2022/04/24
蘭奢待
47
過去に出版された書籍から短文を寄せ集めたアソート集。今は開高健記念館になっているという自宅の書斎、本棚の写真が非常に興味深い。ベトナム関連、南アメリカ関連、モンゴル関連は当然としても、幻想文学、フランス文学に、ディストピア文学への傾倒を感じさせてくれる。サルトル嘔吐が座右の書であることも知らなかった。ボルヘス、チェーホフにオーウェル。自分の読書傾向が似ているところが嬉しい。2021/11/06
水色系
22
本がたくさんあるバーにひとりで来ていて、本棚にあったのをたまたま。本は横になって狭い散らかった部屋で読みたいとか全面同意。(汚部屋をついでに正当化してしまう)本の内容がちゃんと頭に入ってるかあやしいけどバーで読書もいいねえ。2023/01/28
Toshi
14
開高健の読書を、杉並にある氏の記念文庫と茅ヶ崎の記念館、そしてエッセイに語られた本から掘り起こすアンソロジー。「乱読、また乱読」とあるが、本を愛し、筋の通った読書をしてきたことがわかる。何度も読み返す本は、「鮭サラの一生」、「コンティキ号漂流記」、「山椒魚戦争」。 開高健のエッセイ選集は色々出ているが、これは氏の蔵書の写真も豊富に掲載したファン必携の一冊。2023/06/26
tama
10
図書館本 書架で偶然 佳い出来の本 開高健の釣り・食い物噺好き 「すべて自分の好きな作家のどの作品にも似ないように書くことに努力した」「作者がほんとにいい眼を開けて凝視している悪夢はごく稀である」「私は自分の子供にあなたの作品を読むことだけすすめたのです(手塚治虫について)」。洋酒天国!このレベルのものをバーで配布してたなんて!?復刻版欲しい!「(シートン動物記の紹介)小ネズミから大熊に至るまで、ことごとく孤独な頑張り屋ばかりで、生き抜き耐え抜き、最後に壮烈な死を遂げて・・・男のルーツを書いてる」佳き哉!2022/11/26