出版社内容情報
「や、あのさ、あの噂って信じる?」日常の不穏がディストピアの「現在」にリフレインする、マームとジプシー主宰による初小説集。
内容説明
「や、あのさ、あの噂って信じる?」降ってくるコアラ、増え続ける謎の自殺者、リフレインする彼・彼女の毛むくじゃらでポップな日常―演劇ユニット「マームとジプシー」主宰による現実をゆさぶる初小説集。
著者等紹介
藤田貴大[フジタタカヒロ]
1985年生まれ。北海道伊達市出身。2007年、演劇ユニット「マームとジプシー」を旗揚げ。以降全作品の作・演出を担当。11年6~8月にかけて発表した三連作「かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと、しおふる世界。」で第56回岸田國士戯曲賞受賞。13年、15年に太平洋戦争末期の沖縄戦に動員された少女たちに着想を得て創作された今日マチ子の漫画『cocon』を舞台化。同作で16年、第23回読売演劇大賞優秀演出家賞受賞。『季節を告げる毳毳は夜が知った毛毛毛毛』が初の小説集となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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TSUBASA
18
空から降ってきたコアラ、進化して音もなく人に入り込む蚊、サッカー選手が流行らせた綿毛ヘアー、強力な静電気を孕んだ産毛。奇天烈なモチーフの後ろ側にほろ苦い恋愛や思い出がリフレインする。よくわからんかったけど。とりあえずクアッカワラビーってかわいいな。2020/08/10
トト
2
コアラ警報が発令されて、首都圏にもコアラが直撃だってことで。きょうという日は降ってくるコアラに警戒しなくてはならないし。コアラがぼくのアタマに落下してきたならば、首の骨なんて簡単に折れてしまうだろう。という冒頭で始まる1話を含む5話の短篇小説。登場人物、設定、筆致、展開、どれもこれも、一言で言うならニュータイプ。短い小説なので、合うか合わないかお試しで読んでみてください。2020/08/22
食パン
2
タイトルの不思議さに興味を持って読んだ短編集。どのお話も世界観がすごく不思議で、それを読みながら紐解いていくような感じで、1つの芝居を見ている気持ちになる作品ばかりだった。小説と戯曲の狭間的にも感じる。 個人的には2つ目の「夏毛におおわれた」と4つ目の「冬毛にうずめる」が好き。話ごとにある現実の中の不可思議が、なんとも面白かった。ただこんな現実が訪れたら怖い、とも思う部分も。2020/07/26
ハル
1
コロナ以前に書かれたものだが、現在の世界の状況と重なるところがある。藤田さんの独特な言葉の渦に飲まれて、どこまでで行けそうな気がしてくる。心地よい言葉の旅ができました。2020/08/07
夏みかん
0
ひたすらうろんで現実感のない物語が続くんだけど、閉塞感とか哀しみとか感じるものはとてもリアルで息苦しい。2021/08/18