出版社内容情報
佐藤春夫、坂口安吾、三島由紀夫など昭和の文士をはじめ、文筆にかかわった81人を厳選。太宰治の「最期の27枚」を初完全収録。
内容説明
骨太で存在感あふれる昭和の「顔」。特別掲載、太宰治の最期の写真全27枚、完全収録。
目次
川端康成
久米正雄
川端康成+久米正雄
三島由紀夫
草野心平
中里恒子
佐藤春夫
高村光太郎
谷崎潤一郎
斎藤茂吉〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
116
惚れるわ。田村茂の撮った文士たち。川端康成の凛々しさ。文士には本当に着物か似合う。それに杖の組み合わせが渋い久米正雄と江口渙。猫と戯れると顔が変わる三島由紀夫と大佛次郎。谷崎の顔を見れば助平と思う。 志賀直哉は姿がそのまま文士さま。坂東三津五郎の洒脱さはたまらん。そして最後に何頁も太宰。亡くなる4ヶ月前。作家と写真家が生み出した抒情が圧巻。時折挟まれる田村茂自身の文が味わい深い。「あの人の小説を読むと痩せた体を和服に包み、立て膝で背をしゃんと伸ばしてお茶を静かに飲んでいる、という姿がピタリなんだ(続)2020/07/04
なる
43
田村茂の撮影した文士たちの写真がずらり。プライベートを切り取るスタンスながら格好つけている文士も多い。川端康成、三島由紀夫、高村光太郎、谷崎潤一郎、斎藤茂吉、志賀直哉、などの文豪から水木しげる、手塚治虫、徳川夢声、藤田嗣治、小津安二郎などその対象は多岐にわたる。個人的には猫好きで知られる大佛次郎がやはりここでも猫を抱える。どんだけ好きなんだ猫。後半は太宰治の写真集(取り壊し予定となっている三鷹の高架橋での写真もある)といった趣きで、そういえば三鷹ギャラリー内の太宰治展示室にも置いてあったわね。2022/11/15
くさてる
20
昭和の文士たちのポートレイト集なのだけど、どの顔も素晴らしい。雰囲気があって、人格がにじみ出ていて、良い。若き日の手塚治虫やかこさとしの姿も見られます。やはり昭和のひとの顔はいいなあ、と思って眺めていたら、最後にまとめられた太宰治のポートレイトたちがほんとうに参ってしまった。こんな人が目の前にいてあんな文章を書いていたと思ったら、めまいがする。良かったです。2020/02/15
NORI
17
昭和の文士たちのポートレイト集。川端康成から始まる、若かりし頃の写真にイメージと違っていて驚いた。三島由紀夫が猫と戯れてる。坂口安吾、藤田嗣治、柳田國男、小林秀雄も良かった。最後は太宰治が晩年を演じる写真で締め括られる(°∀° )太宰の解説に安藤宏さん。2022/08/21
hitotak
9
主に昭和20~30年頃に撮られた昭和の文士たちの写真集。タイトルは文士だが、随筆などで知られた画家や、有名学者の写真も載っている。書斎や屋外で撮った、リラックスしたふだん着の着物姿の写真が多く、後ろに写り込んだ本棚や家具、調度品なども時代を感じて見ていて楽しい。本の山々に埋もれる牧野富太郎の、いかにも学究一筋な写真には目を奪われた。川端康成も三島由紀夫も、私たちがイメージする晩年の写真よりもずっと若々しいのも新鮮だ。2020/08/30