出版社内容情報
満洲からの引き揚げ、作家としての栄光の日々、癌発覚、そして克服。激動の時代を駆け抜けた、天才作家の軌跡。感動のエッセイ!
内容説明
昭和、平成、そして令和へ。激動の時代を駆け抜けた、天才作家の愛と魂の軌跡!感動の自伝的エッセイ。
目次
第1章 時代の証言者として(生きるって素晴らしい;名士の家庭 音楽に触れる;戦況悪化 無縁の幼少期;避難列車に敵襲 死体の山;父と再会「もう大丈夫だ」;使役の父 骸骨のように;引き揚げ 複雑な気持に ほか)
第2章 二十歳のころ(お茶の水界隈;出発前夜;霊感力)
著者等紹介
なかにし礼[ナカニシレイ]
1938年、中国黒竜江省(旧満洲)牡丹江市生まれ。立教大学仏文科卒業。在学中よりシャンソンの訳詩を手がけ、その後、作詩家として活躍。『石狩挽歌』『北酒場』『まつり』など約4000曲の作品を世に送り出し、日本レコード大賞、日本作詩大賞ほか多くの音楽賞を受賞する。その後作家活動を開始し、2000年『長崎ぶらぶら節』で第122回直木賞を受賞。2012年3月、食道がんであることを公表。先進医療である陽子線治療を選択し、がんを克服したものの、2015年3月にがんの再発を明かし、闘病生活に入るが、再び快癒し、現在、より活発な創作活動を再開している。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふう
91
誰にとっても人生は重くかけがえのない物語ですが、生死の間をさまよったり、目の前で人が無残に殺されたりする経験はそう誰でもがするものではないでしょう。歴史の記録に残るような時代、想像を絶する経験の中で生き抜いてきた一人の人間が、それでも人や音楽、文学と出会って「悔いなし」と言えるような道を選び取ってきた、その生きる力に感心しました。コメンテーターとしての印象が強かったので、若いときにたくさん聴いた歌がなかにし氏の作詞だったと知って、その歌に秘められていた思いを改めて考えました。2020/12/31
TakaUP48
47
読売新聞のコラムで書いたものに時代の出来事をはめ込み、筆者の壮絶な人生が読み取れた。満州での優雅な生活と真逆な逃避行を経て、着いた日本での冷たい待遇やイジメ、兄の借金で彷徨う一家の苦労が続く。高校卒業後の無一文生活。立教大学に出入りで、3度入学。柔道部、クラシックに名曲喫茶、シャンソン喫茶のボーイに訳詞まで。裕次郎の一言で作詞家を志す。居候先で、画家・中西夏之と知り合う。何処かで誰かと繋がる人の縁の不思議さを感じた。筆者の思いの全てが、あの歌詞に書かれているようだ。桜の花の下で見る、夢にも似ている人生さ。2021/01/26
kawa
33
なぜ、図書館リクエストしたか覚えがない(たぶん、新聞書評か?)。歌謡曲に興味がないので、氏の小説に興味があってのことだろうと思う。さて、この本、氏の波乱万丈の人生をエッセイ風に振り返る。とは言え、前半は読売新聞の「時代の証言者」が下敷きになっているせいか、徒に重くならずサクサクと読め面白い。紹介されている「アルケミスト」も早速リクエスト、書棚に長年放置の「長崎ぶらぶら節」も近いうちに手に取ろう。2019/09/12
tetsubun1000mg
15
昭和の作曲者のなかで知らない人がいないくらいの著名人。 後に小説に進出して「長崎ぶらぶら節」で直木賞を受賞。 常に舞台の上でスポットライトを浴びているひとの印象でした。 満州引き揚げの話は、五木寛之、大藪春彦などの作家に共通する大変なことだったようです。 ヒット曲を連発していたのに兄の事業の失敗で負債を背負ったり、心臓病、ガンといった病との山も乗り越えてきた。 苦労も有ったようですが、表現者として自分の内から湧き上がる詩や文章を綴っていくことを定められたように感じました。2019/08/13
sutekibito
4
著者の凄絶な半生は、TVや新聞等で拝見してきましたが、改めて通読。〝一瞬一瞬を細心の注意を払って生きる〟見習いたい。2019/12/02