いつか深い穴に落ちるまで

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いつか深い穴に落ちるまで

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  • サイズ B6判/ページ数 151p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309027616
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

人類は、地球に穴を貫けるのか?サラリーマン・鈴木が挑む地上最強のリアリティ・ショー。選考委員驚愕の第55回文藝賞受賞作。

山野辺 太郎[ヤマノベタロウ]
著・文・その他

内容説明

戦後から現在まで続く「秘密プロジェクト」があった。発案者は、運輸省の若手官僚・山本清晴。敗戦から数年たったある時、新橋の闇市でカストリを飲みながら彼は思いつく。「底のない穴を空けよう、そしてそれを国の新事業にしよう」。かくして「日本‐ブラジル間・直線ルート開発計画」が「温泉を掘る」ための技術によって、始動した。その意志を引き継いだのは大手建設会社の子会社の広報係・鈴木一夫。彼は来たるべき事業公表の際のプレスリリースを記すために、この謎めいた事業の存在理由について調査を開始する。ポーランドからの諜報員、作業員としてやってくる日系移民やアジアからの技能実習生、ディズニーランドで待ち合わせた海外の要人、ブラジルの広報係・ルイーザへの想い、そしてついに穴が開通したとき、鈴木は…。第55回文藝賞受賞作。

著者等紹介

山野辺太郎[ヤマノベタロウ]
1975年、福島県生まれ、宮城県育ち。東京大学文学部卒業後、同大学院人文社会系研究科修士課程修了。2018年、「いつか深い穴に落ちるまで」で第五五回文藝賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

105
斎藤美奈子さんの「これぞ文科系の土木小説!」とのコピーに惹かれて読むが、ちょっと違う感じ。地面に鉛直の穴をあけて「日本―ブラジル間直線ルート開発」という秘密プロジェクトが実現する物語。全くもって荒唐無稽な小説なのだが、現代社会に照らして読むと意味深である。水平の穴(リニア新幹線)のバカさ加減は、鉛直の穴とどう違うのだろうか。掘った穴をどう使うかは後から考えるとして、建設だけが進捗する公共事業。二階級特進のエサで、穴に飛び込む危険を冒す社員を指名する会社の冷酷。滑稽さの中に潜むブラックユーモアにハッとする。2023/06/14

Willie the Wildcat

74
底の見えない穴。目的も紆余曲折する中での大義。ムリ・ムダ・ムラの先に見えるモノとは何か?私自身のお過去を告白すれば、「穴を掘り続けたらどこに辿り着くだろう?」って、幼稚園くらいに砂場で試した記憶アリ。無論、成果無し。でも科学じゃないんだよなぁ。一方、主人公の一途さは、一つ間違うと、先の大戦下の集団主義の匂いともなる。示唆する”穴”の数々。但し、逃げる、隠れるためといった後ろ向きな思考から、環境問題改善など前向きな思考への転換が、骨格という感。故の「満天の星」ではなかろうか。意味深な終わり方だなぁー。2019/04/14

キク

64
東大文学部から同大学院人文系修士までいったエリート文系が書いた「いつか深い穴に落ちるまで」という小説の「深い穴」って絶望の暗喩だと、普通思いますよね?少なくても、僕は思いました。でも、終戦直後から続く極秘国家プロジェクトである「日本ーブラジル間・直線ルート開発計画」という地球に竪穴を建設する、ゼネコン的発想のタイトルだった。主人公はプロジェクトの広報担当。どことなくシュールで、クスッと笑えるのに、なぜかそこはかとなく切ない。文学的な深みはないけど、バカリのコントのような上品な味わいがあって、わりと好きです2023/04/04

オーウェン

59
突拍子もないアイデアである。 日本の反対側から穴を掘ればブラジルに辿り着ける。 理由は飛行機で行くより速いから。 もちろんこんなことできるわけがないのだが、これはある種のファンタジーとして捉えることもできる。 山本から引き継いだ鈴木が事業を進めていき、遂には穴が貫通する。 ラストの描写はちょっと逃げのようにも思うが、こういうぶっ飛んだ中身のお仕事小説というのも有りかなと思う。2022/01/13

えりか

54
「ブラジルの人、聞こえますか~?」日本とブラジルの両方から穴を掘り貫通させるという機密プロジェクトが、戦後まもなくから現代にかけて進められていたことをご存知だろうか。時代の流れとともに消えたもの、誕生したものがあるなかで、この事業はひっそりと続けられていたのだ。これは、それに人生を捧げた男の物語である。ありえないでしょと、つっこんではいけない。むしろ不可能を大真面目に取り組む姿に笑ってしまう。ありえないことにリアリティをもたせるという、小説の面白さや可能性に気づく。だから小説って面白いって思わせてくれる。2018/11/18

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