出版社内容情報
廃墟のラブホテルから綴られる不幸なダメ男のろくでもない人生は、人々の愛で満ちていた――涙と笑いと感動の物語。
石田 香織[イシダカオリ]
著・文・その他
内容説明
オトンは逃げて、オカンは死んだ、兄妹は失踪中―。そのろくでもない人生に溢れた愛。廃墟のラブホテルから贈る最低だけど最高の人生の物語。
著者等紹介
石田香織[イシダカオリ]
1976年、兵庫県生まれ。会社勤務の傍ら96年より森田雄三創作塾にて創作を学ぶ。2017年、『きょうの日は、さようなら』(河出書房新社)で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ふじこ
11
〈金持ちでも、貧乏でも、ええ奴でも、悪い奴でもみんな必ず死ぬんです。〉その日暮らしの果てに廃墟のラブホテルにたどり着いた哲司。最後にパチンコ屋で会った豊田さんに向けて手紙を書きながら、波乱万丈な人生を振り返っていく。いわゆるダメな大人である哲司にだんだん愛着が湧いてくるから不思議だ。仕事は続かず、借金をし、妻と娘を失っても「ダメ」な部分は直らない。ろくでもない人生と人は笑うかもしれない。けれど私は、哲司が幸せだったと思いながら死んでいくことを願ってやまない。2018/11/08
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
10
どんなクズなのかワクワクしながら読みましたが。一人語りのエピソードが積み重ねられていく形式にある種の懐かしさを感じました。これがいわゆる「小説」か、と。登場人物の誰も哲司をクズとはののしりません。クズとは思っていてもいわない、ただ手を差し伸べる、それがこの作品で語られている愛なのでしょうねー。図書館本だったので読了してから表紙の裏に貼り付けられている帯をみて、そこにあった愛という文字に、あ、愛の物語だったのか、と遅まきながら気付かされた次第。2019/04/02
ぬらりひょん
9
"豊田さん”宛に哲司が一方的に手紙を書く形式で話が進む。自分史のような遺書のような。哲司の人生は理不尽なことだらけで、底辺と言っていい生活だけど、たま〜にいいこともある。この”豊田さん”ってだれだっけ?と思ったら、パチンコ屋で隣り合った男で、ごま油と塩を混ぜたおにぎりをくれただけの人だった。自分の人生を振り返る時、そんな些細なことをふっと思い出したりするんかな。大阪弁の語り口が、シリアスなこともマイルドに包んでくれる。たまたま選んだ本だけど、なかなかよかった。2023/05/04
りょう
6
人の暖かいところ、残酷なところ、だらしないところ、それを許す心、許せない心、いろんなことがいっぱいつまってる一冊。2018/12/09
エル
3
うーん、確かに哲治はクズかもしれないなあ。でも終盤は誰かに心配されて気にかけられている。愛すべきクズ?まあこんな人が身内にいたら嫌だけど。2019/09/29