出版社内容情報
経済が崩壊し、諦め感の漂う町で、四人の高校生は町の未来を懸けたプロジェクトに着手したのだが…。島田雅彦が贈る最高の青春小説!
島田 雅彦[シマダ マサヒコ]
著・文・その他
内容説明
「絶望」が蔓延する地方の町・葦原に帰ってきた、破天荒な新米坊主(!?)江川放念。若者が「夢」を持てないほどに荒廃した故郷に驚愕した彼は、若い人材が町を救うはずだと「原石発掘プロジェクト」を立ち上げる。放念によって集められた4人の高校生―常人離れした肩を持つ黒木鷹、町で一番の美少女・青山藍、微生物オタクの白土冴子、そして凡人・緑川夢二―は、それぞれの個性を活かし「夢」に向かって走り出す。しかし、彼らの前に葦原荒廃の元凶、前市長とその傀儡と化した現市長が立ちはだかり…。「絶望」は噛み締めるほどに甘くなる?「青春小説」の新たな王道、ついに刊行!!東村アキコ描き下ろしウォームアップコミック収録!(原作=島田雅彦)
著者等紹介
島田雅彦[シマダマサヒコ]
1961年、東京都生まれ。東京外国語大学ロシア語学科卒。在学中の83年に「優しいサヨクのための嬉遊曲」を発表しデビュー。84年『夢遊王国のための音楽』で野間文芸新人賞、92年『彼岸先生』で泉鏡花文学賞、2006年『退廃姉妹』で伊藤整文学賞、08年『カオスの娘』で芸術選奨文部科学大臣賞、16年『虚人の星』で毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
174
島田雅彦は、永年に渡って新作をコンスタントに読んでいる作家です。東村アキコ描き下ろしのウォームアップコミックからスタート、著者の新機軸でしょうか?著者ならではのマニアックな地方再生野球アイドルキャラメル物語でした。細かい所にこだわった野球の試合のシーンが多いので、野球が嫌いな人にはオススメしません。2018/06/25
佐島楓
59
うーん何だろう、絶望的に感情移入できなかった……。青春にありがちなセンチメンタリズムが排されているからだろうか。それがリアルだという評価もできるだろうが、もうちょっと若者は繊細なものだろう。島田作品らしい小ネタには笑わされたが、真っ直ぐな青春小説を求めている読者にはおすすめできない。2018/06/15
メタボン
42
☆☆☆★ 文藝に連載されていたとは思えないほどポップで軽い青春小説。こんな軽い小説なのに島田の文体の冴えが出ており序盤は夢中になって読み進めた。弱小野球部が甲子園へ出場するまでのくだりは「もしドラ」を彷彿とさせる。中盤からはちょっと都合が良すぎる展開で夢が醒めてきた。でも面白く読めたことには違いない。2018/11/10
竹園和明
37
限界集落とは行かないまでも、若者が夢を持てず出て行ってしまう葦原市。その葦原出身で多彩な職歴を持ち、その割にまだ若いという僧侶が4人の高校生をプロデュースして多方面から街の再生に乗り出して行く。芸能、野球、微生物…という何の関連もない各分野から大胆に街を変えて行く過程がユニーク。既得権を守ろうとする旧態依然とした体制側の妨害にもめげず突き進む姿が小気味よい。展開はオーソドックスだけど、爽やかな風を頰に感じるようなライトさが魅力。若い力はこうでなくちゃ。オッサンだってそれなりに闘ってるんだからさ(笑)。2018/08/24
keith
29
衰退の一途を辿る地方都市。そんな街に戻ってきた僧侶放念は四人の高校生によって街の再生を図るべく動き出す。野球やアイドル創出によって街への注目を集めるとともに、前市長の利権による開発阻止を狙うという展開です。高校生四人のエピソードは面白いですが、利権云々の話はいらなかったような気がします。2018/07/22