出版社内容情報
日本屈指の歓楽街・博多中洲。その街で真夜中を生きる無戸籍の少年がいた――家族の繋がりを超えた人間の強さと温かさを描く感動作。
辻 仁成[ツジ ヒトナリ]
著・文・その他
内容説明
あの夜を越え、「真夜中」を生きる無戸籍の少年がいた。蓮司のよき理解者でテント暮らしの源太、心優しい客引き・井島、お腹を満たしてくれるスナックのママや屋台の主人、憧れの山笠の重鎮・カエル、兄のような存在の平治、警察官の響、そして中洲育ちの少女緋真―土地と人とに育まれ、少年は強く成長していく。家族を超えた絆を描く感動作!
著者等紹介
辻仁成[ツジヒトナリ]
1989年、「ピアニシモ」で第一三回すばる文学賞を受賞。作家・詩人・ミュージシャン・映画監督と幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第一一六回芥川賞、99年『白仏』の仏語版Le Bouddha blancでフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
228
辻仁成は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。先入観なしで読んだので、全く予想していなかった内容でした。著者の新境地でしょうか?無戸籍児童博多中洲国物語でした。中洲のような歓楽街には、無戸籍児童が、多いのかも知れません。博多祇園山笠の週に読めて良かった。 https://www.hakatayamakasa.com/2018/07/02
mocha
119
歓楽街・中洲に生まれ育った少年。家も満足な食事も戸籍さえもない。あるのは不幸のタネを撒き散らすような人でなしの親だけ。それでも彼は周囲の人々に助けられながら成長してゆく。中洲という狭く濃密な街だけが自分の世界だと思い定めて。少年と出会う人達がみなクセがありつつも魅力的で、話が暗くなりすぎないのがいい。山笠が迫力たっぷりに描かれていて、見に行きたくなった。2018/06/17
なゆ
113
真夜中の歓楽街を駆けまわる6歳の男の子は、無戸籍の子供だった。博多は中洲で生まれ育ち、家はなく学校も通わず、ホストとホステスの両親からはネグレクト状態。それでも健気に逞しく、中洲の人たちの人情に支えられて生きている蓮司。事情を知って、どうにかしようと動いてくれる人もいるのだが…。16歳の蓮司も、とても危うい。頼れる人がいい人ばかりだからいいけど。愛されずに育った蓮司だが、愛に目覚めてくれることを祈る。中洲を中洲国と定め、そこでなら自分は生きていけると思い込んでいた幼い蓮司は、どこまで通用するのだろうか。2018/12/06
ゆみねこ
90
博多・中洲に「真夜中の子供」と呼ばれる少年がいた。実母と養父から虐待を受け、住む場所も定まらない少年を、中洲の人々は育み見守った。とても引き込まれて一気読み、映画化決定とのことで楽しみです。お薦め本!2018/07/01
おかだ
73
楽しめた。このテーマの小説で重い気持ちになることはあれど、楽しめた、というのはそれなりに重要だなぁと思ったり。九州の歓楽街・中洲を駆け巡る無戸籍児の蓮司の物語。無戸籍を題材にした作品に興味があり、今まで数冊読んだけど…ダントツで幸せそうだった、蓮司。悲惨な事は度々あれど、中洲の人々に可愛がられて、愛されて、あたたかい目で見守ってもらえて。現実はまぁそうはいかない。でもこういう物語に、どこか救われるような気もした。中洲に行ったら蓮司に会えるんじゃないかと思ってる。そういや映画化も決定してるとの事で、楽しみ。2019/05/19