出版社内容情報
元ホスト、女装家、鬱病、依存症、ニート……。はみ出し者たちがやりきれない思いを俳句に載せて詠んだアンソロジー108句!
内容説明
元ホスト、女装家、鬱病・依存症患者、ニート…行き場をなくした“はみ出し者”たちが、「生きづらさ」をストレートに詠んだ108句!
著者等紹介
北大路翼[キタオオジツバサ]
新宿歌舞伎町俳句一家「屍派」家元。砂の城城主。1978年生まれ。小学5年生より句作を開始。2011年、作家・石丸元章と出会い、屍派を結成。2012年、芸術公民館を現代美術家・会田誠から引き継ぎ、「砂の城」と改称。句集に『天使の涎』(邑書林、第7回田中裕明賞受賞)、『時の瘡蓋』(ふらんす堂)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しいたけ
105
不思議なパワーと哀しみに溢れている。テクニックの小技を利かした70点の句ではなく、「一発ホームランを狙うつもりで大振り」した百点狙いの句が屍派の醍醐味だという。生きづらさを抱え手足を縮めていた人が、身体全部を使って放つフェンスの向こう側。ショートゴロも犠牲フライも、全てが可笑しくて泣けてくる。ふざけているわけではないのだ。句を詠む瞬間の真面目さが伝わり、ぐいぐいと迫ってくる。小さな苛立ちに凹む、下戸の私の肩を叩く。「大丈夫、いっしょに詠もうよ」2019/08/10
マエダ
46
新宿歌舞伎町俳句一家「屍派」中でもアウトローに絞った俳句を記載しているとのことだが様々な人生や個性を持つ人の俳句は面白い。2022/08/24
yumiha
29
「新宿歌舞伎町」は行ったことないけど、なんか妖しくて危ない性と暴力の町というイメージ。そんなネオンと赤ちょうちんで埋め尽くされた街で吟行⁉俳句の句会⁉そこで詠まれた句を一部まとめた本書。街が街だけに、集まる方々もユニークな経歴を持つ。「キャバ嬢と見てゐるライバル店の火事」(北大路翼)「駐車場雪に土下座の跡残る」(咲良あぽろ)火事も雪も冬の季語だけど、こんな使い方は見たことがない。「床擦れを洗ふ日毎に水温む」(菊池洋勝)春の季語「水温む」の使い方もユニーク。私はツマラン常識人だけど、心惹かれる句があった。2018/05/22
nonpono
26
「元ホスト、バーテンダー、女装家、鬱病、依存症患者、ニート」が集う新宿歌舞伎町俳句一家屍派の句集。「トナカイの格好のまま舌打ちす」、「太陽にぶん殴られてあつたけえ」←二日酔いのわたしの朝?、「避妊具は出来損なひの熱帯魚」。「ウーロンハイたつた一人が愛せない」←ウーロンハイ好きにはたまらない、「好きなのは少し壊れているところ」(注 いは旧字)、などなど。何かひとあじ、違う感じ。飲み込みにくいが癖になる感じ。歌舞伎町の夜風がそう作用するのかな。いかにも優等生な俳句よりも、たしかにわたしの脾臓に響いていたよ。2024/05/08
allite510@Lamb & Wool
16
北大路翼が主催する新宿歌舞伎町俳句一家「屍派」のアンソロジー。この結社の名称だけで何かに勝利している感がある。強そうだし。「俳句になっていなくても、言いたいことが伝われば良しとした」ということで、全体的に自由でヌケのいい印象の句が多い。今の時点で好きなのは「万引きの老人とゐる春の暮」と「人妻の調教終えて神社まで」、「ゆっくりなら火箸でも大丈夫」の三句。百八句ではちょっと物足りない。自分でも詠んでみたくなる。2018/03/23