出版社内容情報
夢のエネルギーMG発電の本拠地があり、純日本化政策が進む人工島・日本村に、ある日赤い小さな雲が浮び……その日を描く連作長編。
土田 英生[ツチダ ヒデオ]
著・文・その他
著者等紹介
土田英生[ツチダヒデオ]
1967年生。劇作家・演出家・俳優。劇団「MONO」代表。99年、『その鉄塔に男たちはいるという』にて、OMS戯曲賞大賞受賞。2001年、『崩れた石垣、のぼる鮭たち』にて、芸術祭賞優秀賞受賞。テレビドラマや映画脚本なども執筆多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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西
33
好きな劇団「MONO」代表の土田英生さんの舞台「燕のいる駅」の小説版。舞台は駅舎だけで完結する作品だけど小説は外の世界も色々描かれていて趣きは少し異なる。どうしても舞台のシーンを思い出して読んでしまうけど、舞台観ていない人はどう感じるのだろう。SF的なものを求めて読む人がいたら勘違いされそうな気がする。小説上では扱いがかなり少なくなってしまったが、舞台と同じでやはり駅員と売店店員の二人のストーリー、心の動きが好きな作品。土田さんらしい作品だと思った2017/10/17
rosetta
9
★★☆☆☆東京湾上の人工島に作られた日本らしさを表したテーマパーク「日本島」。と言う設定に全く何の意味もない。ただ繰り広げられる無駄話。夢のエネルギー源MG 発電とは水からガスを取りだす、ってもうそれだけで説得力のない嘘じゃん。だから人類が滅ぶなんて言われても、ちっとも迫るものがない。悪い意味での作り事ばかりの一冊。2017/04/10
HaruNii
8
7万人が住む人工的な島である日本島。島で暮らす人たちのちょっとした話。空には赤い風船が徐々に広がっていくという危機が迫る。結局結末がよくわからない終わり方。2021/01/16
法水
8
劇団MONOの主宰・土田英生さんの実質的な小説家デビュー作(自身の戯曲のノベライズは出したことあり)。日本らしさをテーマにした人工村・日本村を舞台にしたオムニバスで、ベースになっているのはMONOの代表作『燕のいる駅』。空に赤い雲のようなものが現れ、世界の終わりが近づいているという設定なのに、登場人物たちはいたってのどかで、挿入されるエピソードも人間の滑稽さを描いたものばかり。もっと日本村という設定を深く掘り下げて欲しかったけど、ラストにはホロリとさせられた。2017/06/07
サニー
7
舞台を見るのが好きで、その中でもMONOの舞台が好きで毎年観てる。演出家の土田さんが小説を出したから買いたいと思ってたけど、今回劇場でやっと買えました。土田さんらしい優しくて笑えて怖くて、とっても切ないお話だった。SFは苦手だからどうなるかと思ったけど、すっかり小説の世界に入り込めた。四月からは崖っぷちホテルの脚本も書かれるそうで。めちゃくちゃ楽しみにしています。絶対に面白いはず。2018/04/01