出版社内容情報
ひかり公園て?産まれた六匹のねことその家族が奏でる “命” の物語がいま、幕をあける――著者2年ぶりの最新小説!
柳 美里[ユウ ミリ]
1968年生まれ。93年『魚の祭』で岸田國士戯曲賞を受賞。94年『石に泳ぐ魚』で小説家としてデビュー。96年『フルハウス』で泉鏡花賞・野間文芸新人賞、97年『家族シネマ』で芥川賞を受賞。近著に『自殺の国』がある。
内容説明
ひかり公園で産み落とされた6匹のねこたち。ねことその家族が奏でる命の物語。
著者等紹介
柳美里[ユウミリ]
1968年生まれ。高校中退後、東由多加率いる「東京キッドブラザース」に入団。役者、演出助手を経て、86年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。93年『魚の祭』で岸田國士戯曲賞を最年少で受賞。97年、『家族シネマ』で芥川賞を受賞。著書に『フルハウス』(泉鏡花文学賞、野間文芸新人賞)、『ゴールドラッシュ』(木山捷平文学賞)他多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
482
4つの連作短篇から成る作品集。タイトル通りに全ての作品に猫が登場するが、猫はあくまでも物語の素材として機能するのであって、基本的には飼い主の人たちの物語。ひかり町のひかり公園と物語の場はいたって狭く、動物病院の港先生が構造上の核となっている。物語世界の全体は暖かいようでもあるが、なんだかせつない感覚もつきまとう。生きていくことの悲しみのようなものが揺影するのである。猫にとっての「おうち」もそうだが、そこに暮らす人間にとってもそれは手放しで幸福とは呼べないからだろうか。2021/02/06
starbro
241
柳美里は新作中心に読んでいる作家です。2年ぶりの新作、著者の毒・狂気が良い意味で抜けた感じで何時もの作風と異なりました。著者は現在、震災後の南相馬市に猫と暮らしているので、大分心境の変化があったのでしょうか?問題のある家庭に寄り添う猫の癒しが温かい気持ちを齎します。連作短編集ですが、中では「ニーコのおうち」がオススメです。表紙と挿絵の千海博美の猫のイラストも良い味が出ています。 2016/07/03
風眠
182
学生時代、演劇好きの友人が柳美里を絶賛していて戯曲を何冊か貸してくれた。なかなかに尖っているな、と思った。その尖った先端は、作者自身に向けられているように感じた。その後、何冊か小説も読んだが印象は変わらなかった。『ねこのおうち』という可愛らしいタイトル、心温まるような切なさ満載の物語。これは柳美里?と思った。けれど人物描写の中に見え隠れする容赦のなさは、うん、やっぱり柳美里。自分を通してしか見られなかった命。別の命を通して見ることができるようになったのだとすれば、彼女のこれからの作品をとても楽しみに思う。2016/08/09
chimako
113
小さな町の公園。そこに集まる野良猫たち。1匹のキジトラ ニーコが産んだ6匹の子猫をめぐる連作集。厳しいことも、辛いことも、悲しいことも、切ないことも 当たり前にある。別れや混乱や意地悪や身勝手もある。そんな中で一匹の猫に慰めれ、勇気づけられる人たち。優しくなり穏やかになった人たち。動物は嫌いな人もいるし、アレルギーのある人もいるし。自分の気持ちを押し付けず上手く共存したいものだ。2017/11/30
ゆみねこ
102
ひかり公園に捨てられた一匹の子猫。おばあさんに保護され「ニーコ」と名付けられた猫から始まる連作。人間の身勝手で捨てられる猫たち、保護する人、毒団子を撒く人。遠い町に引っ越した原田くんのその後が幸せだといいな。すべての猫が幸せに暮らせたらいいのに。。2017/04/21