出版社内容情報
古典『見聞録』で楽園と謳われた島の架空の港町。新町長の下「鳥打ち」の職に就く三人の青年に最大の転機が…自我と自由を巡る傑作!
【著者紹介】
1990年、神奈川県生まれ。慶應大学文学部仏文学専攻卒業。同大学大学院文学研究科仏文学専攻に在籍。2014年「アルタッドに捧ぐ」で第51回文藝賞を受賞しデビュー。
内容説明
不朽の古典『見聞記』に楽園と謳われた島の架空の港町。新町長の下、観光資源の美麗な蝶と花畑を護るため、海鳥を毒矢で殺す鳥打ちの職に、三人の青年が就いていた。しかし島の経済が陰りを見せるにつれ、鳥打ちの一人、天野は自らの為す仕事に疑念を抱く。問うてはいけない問いは、やがて町をあげての大騒動に発展して―三人の青年の自由を巡る圧倒的小説。
著者等紹介
金子薫[カネコカオル]
1990年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学文学部仏文学専攻卒業。同大学大学院文学研究科仏文学専攻に在籍。2014年「アルタッドに捧ぐ」で第五一回文藝賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナイスネイチャ
204
図書館本。島の蝶を守る為、鳥を駆除する仕事とする三人の鳥打ち師。1ヶ月のノルマが課せられ、その上上限もあるという、手を抜いてもダメ頑張りすぎてもダメな生業。1人が仕事として鳥を駆除し、1人は鳥打ちを極めようと努力し、もう1人は鳥を殺める事に疑問を持ち嫌気が指す。誰も間違ってないし、どれも正解がない。なんだか不思議な世界観だった。2017/01/31
おしゃべりメガネ
203
『アメトーク~読書芸人』で光浦さんがオススメしていた作品で、もちろん初読み作家さんです。光浦さんがプレゼンしていたとおり、とにかく何とも言えない不思議な作品でした。‘架空’の町で鳥打ちを仕事とする3人の男たちの話ですが、その独特な作風、雰囲気はコレまでに読んだことのない世界観を存分に味わうコトができました。ファンタジーかといったら、そうでもないのですが、まるで絵本を開いているようなその世界観にひたすら圧倒されてしまいます。わずか150頁ほどの作品ですが、そのインパクトは他の作品にはないものがありました。2016/11/15
(C17H26O4)
78
蝶が舞うお花畑の透明感ある明るさと、アレパティロオオアゲハとかネルヴォサといった童話のような名称、そして毒矢で鳥を何百と撃ち殺す仕事に従事している若者の逡巡との重なりが、不調和で不思議な印象をもたらしていた。連続と終止と始まり。惰性と迷いから抜け出す動因が希望を見つけた同僚の失踪と処刑だというのは、淡々とした描写と相まって随分と寂しい。戸惑いを残す読後。2020/12/11
アマニョッキ
67
金子薫さん3冊目。架空の町の架空の職業というヴェールを纏わせることにより、人間が生きていくうえでの葛藤や疑問を幻想的に浮かび上がらせている作品。文学ではあるけれどとても視覚優先な作品で、ずっと目の前には鳥が飛び蝶が舞い花が咲きほこる架空の楽園と薄汚く荒んだ酒場の映像が繰り返される。楽園が楽園であり続けるための均衡が破られたとき、世界はどう傾いていくのか。やはりわたしは金子さんの描く寓話が好きだ。表紙の絵(ルドン「蝶」)ありきで書いたのかしら?だったら本当にすごいな、天才だな。もうずっと追いかけます!2019/01/02
オーウェン
59
架空の港町で暮らす沖山と保田と天野は海鳥を撃つ鳥打ちの仕事に従事していた。 しかし不況の煽りで鳥打ちが要らないと叫ばれるようになり、天野は疑問を持ち始める。 職業としてどうなのかという鳥打ちだが、天野の選択はさも当然のように映る。 そこを許さない監督官という存在は閉鎖的な空間を匂わせる。 次第に町が変わっていく過程の中で、最期の時が迫る。 ある意味ハッピーエンドのようなバッドエンドのような。 変わらざるを得ない覚悟が見て取れる。2021/01/28
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