出版社内容情報
生と死、フィクションとリアル……2008年から2015年にかけて、作家・保坂和志が考え続けてきた、奇跡のような思考の軌跡。
【著者紹介】
1956年、山梨県生まれ。93年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、95年『この人の閾』で芥川賞、97年『季節の記憶』で谷崎潤一郎賞と平林たい子賞、2013年『未明の闘争』で野間文芸賞を受賞。
内容説明
私がしたのは、私はしなかったからだ。小説家の中にある混沌(リアル)に触れる。
目次
「いや、わかってますよ。」
『インランド・エンパイア』へ
ペチャの魂
二つの世界
「ペチャの隣りに並んだらジジが安らった。」
判断は感情の上でなされる
作品全体の中に位置づけられる不快
もう一度『インランド・エンパイア』へ
路地の闘争
時間は不死である
著者等紹介
保坂和志[ホサカカズシ]
1956年、山梨県生まれ。早稲田大学政経学部卒業。93年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、95年『この人の閾』で芥川賞、97年『季節の記憶』で谷崎潤一郎賞と平林たい子文学賞、2013年『未明の闘争』で野間文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽち
11
私はこの本で繰り返し繰り返しくどいほど言及されるのは「フィクション」なるものはなんであるかということだった、掲載誌の休刊を挿んで再開された、その間には「未明の闘争」を挿んでいてしかし「朝霧通信」もあった、過去の著作の中でもいちばんつまずきながら行きつもどりつしながら、読み進んだ。最後には猫に時間の流れる(あいかわらず自己満足のパスティーシュ)2015/10/23
勝浩1958
11
保坂氏の文章は決して易しくないのですが、私はいつまでも氏の文章を読んでいたいのです。こうであると決めつけてしまわないで、ああでもないこうでもないと考え続ける快感と苦悩、捉まえられそうで捉まえられないじれったさ。私たちが生きていくっていうことは、このようなことの繰り返しじゃないのでしょうか。ところで、ここで語られているデイヴィッド・リンチの『インランド・エンパイア』は観たことはないのですが、『ツイン・ピークス』は一回観てはまってしまいました。ギル・エヴァンスの大ファンというのも好感が持てますね。2015/10/11
まゆ
11
今まで以上に置いてきぼりくらった。猫の話してても置いてかれてる。12ページもあるあとがきがいちばんまだそばにいてくれてた。2015/10/01
showgunn
7
普段自分がインターネットで目にするような他人の「考え」というようなものが如何に「考え」でもなんでもないかというか、本当に物事を自分の力で/身体で考えるというのはこういうことなんだということと、「考える」というのはとても激しいことなんだと改めて認識させられたというか思い知らさせれた、まだ頭がクラクラしている2016/02/14
NагΑ Насy
6
『未明の闘争』の執筆とおそらく並行して書かれたエッセイ。季刊雑誌真夜中の#1 〜 #15 まで、2008年から2011年までの連載分に加えて、文藝での連載再開の分。いちばん最近の掲載文は2015年の秋で、ブランクを挟んで7年分の思考をまとめて読むのは重すぎた。直接自作の小説についてふれられているところはないけれど、作品の執筆中に何を考えているかの記録だとおもえば『未明の闘争』の作品ノートのようにも読んでいた。エッセイの連載の何年かの間に作家の老いた父と老いた飼い猫が亡くなって、間に震災を挟んでいる。2016/04/24