文芸の本棚
夏目漱石『三四郎』をどう読むか

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  • サイズ A5判/ページ数 223p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784309023328
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

永遠の青春の書は今いかに読まれうるか。東浩紀、荻上チキらのエッセイの他、『三四郎』をめぐる対談、評論等をベストセレクション。

【著者紹介】
1955年生まれ。早稲田大学教育学部・総合科学学術院教授(日本近代文学)。『秘伝中学入試国語読解法』(新潮選書)、『教養としての大学受験国語』(ちくま新書)、『漱石と三人の読者』(講談社現代新書)など。

目次

『三四郎』はどう読まれてきたか(石原千秋)
対談(文芸漫談 夏目漱石『三四郎』を読む(奥泉光;いとうせいこう)
三四郎、百年の孤独(姜尚中;栗坪良樹))
鼎談 差別と文学―漱石『三四郎』を読み直す(小森陽一;富岡多惠子;西成彦)
エッセイ(三四郎は名古屋で同衾すべきだった(東浩紀)
近代ごっこ。青年は次に誰を見下す?(荻上チキ) ほか)
講演 『三四郎』(吉本隆明)
評伝 漱石の二十世紀―『三四郎』と明治四十一年の東京(関川夏央)
評論(夏目漱石『三四郎』―本郷(前田愛)
『三四郎』論の前提(千種キムラスティーブン) ほか)

著者等紹介

石原千秋[イシハラチアキ]
1955年、東京都生まれ。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専攻は日本近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆう

31
面白かった!初めから読むと、これまでの「三四郎」受容史となる構成になっていて、あわせて日本文学批評の移り変わりも垣間見ることができる。ナイス!なんというお得な一冊。中でも「野々宮くんの実験装置」への指摘と、小説の中で美禰子がどの様に「謎」として構築されているかというあたりの話が面白かった。そして、美禰子を外野から様々な言葉で埋め尽くした作品の中で唯一、三四郎だけが彼女自身の言葉「ストレイシープ」で彼女を表現したという指摘も。そうか、それは確かにそうだとなった。三四郎は美禰子の内面を掬い上げようとしたのだ。2022/01/23

かふ

11
石原千秋氏はテキスト批評の『漱石はどう読まれてきたか』を読んだことあった。同時代の人、60年代の人、現在の人がどう漱石を読んだか分析して面白い本だった。こんどは『三四郎』という一作品だけに多様な読み方を知ることが出来て面白い。一番面白かったのは、藤森清の野々宮の物理学の光の分析装置の「独身機械」というカフカの「独身機械」に繋げて論じている。そう言えば野々宮の妹のよし子もヴァイオリンを弾くんだよな。小森陽一「漱石の女たち 妹たちの系譜」も漱石の小説に登場する小姑としての妹。兄の結婚を批評する存在。2019/05/10

マカロニ マカロン

10
個人の感想です:B+。『三四郎』文学散歩の参考本。石原千秋さんの責任編集で、前田愛さん、藤森清さん、小森陽一さんらの評論、紅野謙介さん、東浩紀さん、三田誠広さんらのエッセイ、奥泉光さん×いとうせいこうさんの対談、小森陽一さん×富岡多恵子さん×西成彦さんの鼎談などスリリングな『三四郎』の読み方が多くてとても作品の理解に役立った。美禰子はあの時代にしては先進的な女性だっただろうが、結婚圧力、女性差別などに直面していただろう。フェミニズム的な観点から読むと、また別の美禰子像やストレイシープの意味が読み取れそうだ2023/09/22

Chako@(旧名:かど =^ェ^=)

6
簡潔に言うなれば、深読みのプロ達による漱石論と「三四郎」論を展開してる興宴だろうか。もし読書する時さらっと通読するだけに慣れてしまうと、国語教科によくある「次の文章を読んで設問に答えよ」という文章問題は難しくて解けなく成るかもしれない。私の場合は程度の差こそあれ、初読時に深く読み込むことを心掛けてる。だから遅読なのだが…。「三四郎」を読んでて前述した国語教科を思い出してしまうのは一種の刷り込みみたいなもので、文面から訴えかけてくるものがある。三四郎と美禰子のやり取り部分を抜粋して国語教科の文章問題にして☟2017/02/05

Jimmy

3
面白かったです。漱石は「三四郎」と「明暗」が好きな私は大学時代、東大に遊びに行って三四郎池を見物した口です。三四郎オンリーでここまでの評論を読めるとは幸せ。中でも三四郎の無意識の欲望を暴いた千種キムラ・スティーブンさんの評論は面白かったなぁ。2017/05/21

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