出版社内容情報
災厄の日から二年。最愛の女を失った男は堕落の道を歩みはじめた――壮麗な文体を駆使して到達した「ポスト震災」恋愛小説の決定版!
【著者紹介】
1973年青森県生。東京大学文学部卒業、同博士課程修了、博士(文学)。著書に『定本 夜戦と永遠』(上・下)『切りとれ、あの祈る手を』『九夏前夜』『踊れわれわれの夜を、そして世界に朝を迎えよ』他多数。
内容説明
災厄の日から二年。最愛の女を失った男は、堕落の道を歩みはじめた―坂口安吾の思想的後継者と目される著者が、日本近代文学の全記憶を召喚する壮麗な文体を駆使して到達した、「震災以後」恋愛小説の決定版!
著者等紹介
佐々木中[ササキアタル]
1973年青森県生。作家、哲学者。東京大学文学部思想文化学科卒業、東京大学大学院人文社会研究系基礎文化研究専攻宗教学宗教史学専門分野博士課程修了。博士(文学)。現在、法政大学非常勤講師。専攻は現代思想、理論宗教学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Bartleby
14
「あやまちだけが知る、いのちのふかさがある」著者独特の文体は京都の言葉とよく合う。自分が京都に住んでいて特に好きな風景が夏の鴨川だということもあって、この本の鴨川の場面が気に入った。あの感じをよく言語化してくれたと思う。それだけでも読んで良かった。2014/01/27
梟をめぐる読書
13
佐々木氏の文体と自分自身の現実感覚が、この作品でようやくリンクしたような気がする。二年前の〝喪失〟体験を「襤褸(ぼろ・らんる)曳く」ように引き摺りながら生きながらえてきた男の異郷での再生、あるいは堕落。地の文の思考と「京ことば」がひとつに混ざり合う文章が素直に心地よい。〝口〟や〝味覚〟に密着した内容だからなのか、出てくる料理がみんな美味しそうで参った。所謂「小説」のシステムを一度すべて否定するような書き方でありながら〝あの部分〟だけ鉤括弧での会話がなされた理由とかは、まあ追い追い考えたい。2013/12/25
nrk_baby
4
『夜を吸って夜より昏い』もそうだけど文体の上にテーマがきっちり乗っかっててかなり良いと思います2014/01/24
takao
3
ふむ2024/02/15
こくう
3
佐々木さんは2作目。これだけの言葉で表現しながらも破綻しない文章力はすごいとは思う。文章の波に揺られて浸っていればいい作家なのだと思う。しばらく時間をおいて読み直したいと思う。2014/05/03