内容説明
新たなる「家族」と「性」の物語の誕生―。十五年後―左腕と右目を失った過去の恋人は、再び私の前に現れた。私にはその時、すでにナルナがいた。
著者等紹介
坂上秋成[サカガミシュウセイ]
1984年生まれ。早稲田大学法学部卒。文芸批評家、ミニコミ誌『BLACK PAST』責任編集(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
14
ここで示される「少女」とは、世界に対し、自分の中の言葉の萌芽を持って向き合おうとする者全てのことなのかもしれない。言葉によって繋げ、断ち切り、自分の世界を結び出す。それが身勝手で何の傷も背負っていないものならば、やがて言葉自身によって少女たちはしっぺ返しを食らう。そして、そのしっぺ返しによる「傷」こそが、次なる言葉の前提たりえるものでもある。主人公は「遠い回り道」を経て再びその足場に立つ。それは回り道にして唯一の、最短の道でもある。そこから過去も未来も再び始まるのかもしれない2013/07/14
NEKOS
6
辛い本だった。文学とか芸術の漠然としたイメージから生えたようなテーマ、キャラ、展開。漫画的なキャラが村上春樹の物真似を延々続け、その合間にやはりフワッとした『芸術』嗜好の女のモノローグが挟まる。碧眼の元カレやらレズとゲイばっかのバーが出てくるけど、インパクトを与えるための道具でしかなくて残念。ユーストの場面は悪い意味で鳥肌がたったよ。素晴らしい表現も沢山あったんだけど、何もかも素晴らしくしようとする意図が透けて、悪いほうが目立った。緩急って大事。2013/04/16
そら ふわりん
5
図書館のオススメコーナーにあり、装丁に惹かれて借りたが、全く合わなかった。特に前半は、文章体が 言い切り と ですます調 を混ぜて使用しており、読みにくかった。頑張って最後まで読んだが、特に印象は変わらず。やはり、読メで本を探してから借りるべきだったと反省。2013/08/07
なぎ
4
これは小説という形をとった言葉についての哲学書なんだなと思う。言葉を口にすることも、文字にして形にすることも簡単だけど難しいし終わりがない。人と人を繋ぐのも言葉である。ただそれは凄く危うい。簡単に傷つけることもできるし幸せにすることもできる。言葉に真摯であるべきだけれど、それを思うばかりに無駄なことばかりつむいでしまう。人間しか持たない言語の多様性を考えさせられた。みんなが不器用で疑心暗鬼で、それでも向き合うことをやめなければ希望はあるんだとおもう。今までの自分を認めることも大事なんだと思った。2015/07/17
しぐれ
4
中村明日美子先生の表紙絵が気になってなんとなく。 「ここは随分とあなたに優しい場所ね」 とか雰囲気はなんとなくわかるし嫌いじゃないのだけどいまいち理解が出来ない。 優しい場所にいるのは、だめなんです? 2014/03/06