内容説明
十八歳から二十九歳まで、デビュー前の未刊行作品集成。奇跡の復活をとげた作家の未刊行作品十編。
著者等紹介
佐藤泰志[サトウヤスシ]
1949‐1990。北海道・函館生まれ。國學院大學文学部哲学科卒。高校時代より小説を書き始める。81年、「きみの鳥はうたえる」で芥川賞候補になり、以降三回、同賞候補に。89年、『そこのみにて光輝く』で三島賞候補になる。90年、自ら死を選ぶ
福間健二[フクマケンジ]
1949年、新潟県生まれ。首都大学東京教授。映画監督作品として『岡山の娘』などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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℃
8
少年と大人の境目や裂け目のようなものが描かれている気がします。夏という季節の光や体に滲む汗が若々しく、一見無為に思える日常や友情も愛しいような気がしてこれが続いて欲しいと思えてしまうのだけれど、どうしようもない出来事が動かせない岩のように現れて現実を一変させる。大人になるのでなく、ならされる。そんな風に思えました。2016/11/17
ふるふる
6
佐藤泰志の初期作品集。作者自身の若さゆえか、主人公の苛立ちを露わにした作品が多いなぁ、という印象。また、えぐい描写も多く、結構しんどかった。『ディトリッヒの夜』が短編集の最後でちょっと救われた感じ。それでも『遠き避暑地』や『光の樹』で描かれる函館の風景には心惹かれるものがあるし、『もうひとつの朝』の主人公の自問自答で終わるあの一文がすごくかっこいいと思った。2016/07/17
amanon
5
二十歳にも満たない時に書いた実質的デビュー作「市街地のジャズメン」に驚愕。解説でも示唆されているように、若くしてこのような完成度をもった作品を書き上げたら、後はもういいかというモードになる可能性もあったのだが、佐藤はそうはならなかった。その後彼が辿った道を多少なりとも知る者にとって、この事実が何とも言えず重たいものに思えてくる。冒頭の三作品があまりに濃厚だったため、残りの作品がやや物足りなく思えたが、解説を読むことによって、よりその味わいが増した気がする。大江健三郎からの影響が強いのが、大きな発見だった。2023/05/09
TERRY
3
どの作品も、何にもなろうとしない若者たちが主人公。40年ほど前の作品ですが、老境を迎えた彼らは現在どのように過ごしているのでしょう。2018/07/05
世玖珠ありす
3
【きみの鳥はうたえる】以前に書いたものを集めた作品集。18歳の時にこれを書いたのか!と思わせた【市街戦のジャズメン】。あとがきにもあるように、この作品を18歳で書いたという自負が、その後の彼の運命を決定づけたとしか思えない。気負っている感が剥き出しなんだけれど、このように勢いを感じる作品をその後、彼は書けてないと思う。佐藤泰志、始まりの作品集なんだけれど、終わりを映す鏡のような作品集でもある。2014/06/17