内容説明
ケルアック『オン・ザ・ロード』から石牟礼道子『苦海浄土』まで。世界の今を映しだすさまざまな傑作を紹介する最新最良の世界文学ガイド。
目次
逃げるアメリカ男―『オン・ザ・ロード』
逃げるアメリカ少年―『キャッチャー・イン・ザ・ライ』
最初の逃げるアメリカ少年―『ハックルベリー・フィンの冒険』
ゴーギャンの祖母―『楽園への道』
反抗するゴーギャン―『楽園への道』
ゴーギャン自身の本―『ノア・ノア』
博打だよ、人生は―『存在の耐えられない軽さ』
筆禍への覚悟―『存在の耐えられない軽さ』
若くて美貌の作家たち―『悲しみよ、こんにちは』
植民地の貧苦―『太平洋の防波堤』〔ほか〕
著者等紹介
池澤夏樹[イケザワナツキ]
1945年北海道帯広生まれ。埼玉大学理学部中退。75年から3年間ギリシャに滞在する。88年「スティル・ライフ」で第98回芥川賞受賞。以後、世界各国に旅を重ねながら数々の作品を発表し、書評なども数多く手がける。おもな小説に、『マシアス・ギリの失脚』(新潮社、谷崎潤一郎賞)、『花を運ぶ妹』(文藝春秋、毎日出版文化賞)などが、おもな評論・書評集に、『母なる自然のおっぱい』(新潮社、読売文学賞)などがある。2010年度朝日賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yusuke Oga
31
まだ読み終わってないし、これからも読みつづけるだろう自分にとって教科書のような本となった。世界にはまだいろんな試みをしているわけのわからない奴らがいて、そういう熾烈な場所からが標準で、そこから物を語ったり考えたり書いてしている、「世界文学の輪」という楽しくて緊張感のある空間が本当に羨ましい。仲間になりたい。同じ空気を吸いたいよ。そして苦界浄土が読みたい。2014/10/21
阿部義彦
17
かなり前ですが、池澤夏樹さんが単独で選者となり、世界文学全集を河出書房新社から出しましたが、これはそれに選ばれた文学作品を分かりやすく解説して、少しでも興味を持って貰える様に、夕刊フジに週1で連載された文章が元になってます。この全集は独断で第二次世界大戦以後の現代の文学作品に焦点を当てたので所謂古典は敢えて省きました。私が読んでたのは2、3編のみでしたが、どれも紹介の仕方が良かったのか、興味を覚えました。特にミラン・クンデラとトマス・ピンチョンは是非読みたいと思った。久しぶりに読書家っぽいの読んだかも2024/04/30
エムパンダ
14
著者が個人編集した河出書房の「世界文学全集」の刊行に合わせ、掲載作品を紹介した連載コラム。第二次世界大戦後の文学作品ということもあり知らない作家・作品ばかりだったが、読書欲をそそられる。村上春樹が「1Q84」で言及していたデンマーク人作家イサク・ディネセン「アフリカの日々」を見つけたのは嬉しい。全集を図書館で借りて拾い読みしたい。2021/06/19
粋花
12
池澤夏樹さん個人編集世界文学全集に収められている作品やその作者などについて書かれている。一つのはなしが三ページほどにまとめられていて読みやすくておもしろいし、親切ガイドにもなってる。これを読むと文学全集を手にとって読みたくなるよ。2015/12/06
kaoriction@感想&本読みやや復活傾向
10
池澤夏樹『世界文学全集』が欲しい。本屋へ行く度に並ぶ背表紙を見て、でも、金銭的余裕、大人の事情で躊躇っている。そして、いつもその近くに並んでいるのが本書。欲しい『世界文学全集』は、出発点を今に置き、第二次大戦後の今の文学を読み解く。シェイクスピアもゲーテも『嵐が丘』や『罪と罰』も無し。その全集のガイド的役割りなのが、この「リミックス」。逃げる男のケルアック『オン・ザ・ロード』から、自然と幸福の石牟道子『苦海浄土』まで。文学で語る今。軽い語り口で短めコラム。ガッツリ文学、ではなく、さら~り文学、するには◎。2012/09/09