出版社内容情報
「日本人」の側から「在日問題」に真正面から体当たりした小説。──斎藤美奈子氏(選考委員)
内容説明
この世界はどこにだって、見えない溝がある。たとえば僕ら二人の間にも。―新入社員の僕とソンウの友情を描く話題の青春小説。第46回文藝賞受賞作。
著者等紹介
藤代泉[フジシロイズミ]
1982年、栃木県生まれ。広告代理店勤務を経て、現在、主婦。2009年、『ボーダー&レス』で第46回文藝賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チャーリブ
38
文藝賞受賞作。東京の大学を卒業して何となく新社会人となった江口理倫は、同期の趙成佑(チョ・ソンウ)と気が合って親しく付き合うようになります。ものごとを深く考えるのが苦手な理倫にとって、お互いの内面に立ち入らないぬるい関係が心地よかったのですが、やがてソンウの「在日」という深刻な問題にぶち当たることになります。小学生がそのまま社会人になったような脳天気な理倫だからこそ見えてくる現実もあるということでしょうか…。令和版「僕って何」?2023/08/30
けいぴ
38
江口理倫は、入社式で隣に座ったチョ・ソンウと友情を深めていく。在日3世だというソンウに対して「国とか民族とかどうでもよくて単純にソンウが好きだ」と言う江口だったが、人には決して見せないソンウの苦しみを知る。江口とソンウの友情の物語。2023/08/13
なゆ
23
在日という重いテーマだけど、新入社員ふたりの軽めの会話と日常に乗せて、とっつきやすく読める。新人研修で気が合ったのは、在日三世のソンウ。でも別にそんなこと気にしてないし、それ以外の部分で仲良くできると思ってた江口。五七五のメールやちょっとした会話も面白くてスイスイと読んでるうちに、どんどん深いところに入り込んでいく。そこには触れてほしくないのか、触れたほうがいいのか。目を逸らしたままで友情と言えるのか…こっちまで頭の中こんがらがるのだけど、ラストにフッとほどけてゆく感じが、よい。2013/05/28
フキノトウ
14
なりすけは、すごく傷ついてきたんだな。二人の距離感が好き。りーりんの方も、誠実に向き合っていたし、これからも考え考え行くんだろうな^^2013/08/25
Akira
13
「読んでる本に追加」する前に読み終わっちゃいました。テンポも良く、文章もスマートで会話のセンスも最高!学生の頃を思い出しますね。確かに重いテーマかも知れないけど重さを感じさせずに、でも、伝えたい所はしっかり押えてるって言うのかな。とてもスマートな作家さんで、次作も楽しみ。2013/06/15