出版社内容情報
小社は先年,物理学の全体像を把握し次世代への展望を拓くことを意図し,第一級の物理学者の絶大なご協力のもとに本講座を刊行しました.幸い多くの読者の厚いご支援をいただき,強く再刊を望む声が寄せられています.このご要望にお応えし,各巻に補章を加えて最新の進展を取り入れ,装丁も新たに第2次刊行を開始します.
内容説明
金属中の電子はCoulomb相互作用のため互いに避けあって運動する。このように電子が互いに相関をもって運動することを電子相関と呼んでいる。一般に相関の強い金属電子の正常状態は古典的なLandauのFermi液体論によって記述できる。このFermi液体論はLuttingerらによって微視的に導かれ、最近の磁性希薄合金・重い電子系、銅酸化高温超伝導体・有機導体、絶縁相に近い金属などの研究を通じて具体化され、豊かな物理的内容をもつことが明らかにされてきた。本書ではバンド計算のような1本近似では見られない金属電子の多体効果を紹介する。
目次
1 Fermi気体
2 Fermi液体論
3 Andersonの直交定理
4 s‐dハミルトニアンと近藤効果
5 Andersonハミルトニアン
6 Hubbardハミルトニアン
7 相関の強い電子系のFermi液体論