内容説明
流鏑馬の達人で蹴鞠もこなす、和歌の天才、西行。平安末期のドラマチックな時代の中で、武士として僧侶として歴史の現場に立会い奔走した姿と、待賢門院璋子との恋を描く、待望の歴史小説。
著者等紹介
三田誠広[ミタマサヒロ]
1948年、大阪生まれ。早稲田大学文学部卒業。1977年、『僕って何』を「文藝」に発表し、芥川賞受賞。以後、小説、評論、エッセイと幅広く活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ふう
94
名前や短歌について教科書で学んだだけの知識しかありませんでしたが、その名前と「月に恋する」のタイトルに惹かれて手に取りました。出家するまでは、生い立ちとともに西行の心情が物語られておもしろく読めましたが、出家後は登場人物が多く歴史の教科書を読んでいるようでちょっとつらかった…。聡明さと細やかな情で男女を問わず周りの人々から好感を持って受け入れられた西行。懸命な努力にもかかわらず、貴族から武士の世へ、動乱の世へと時代が移り変わっていきます。恋した人や近しい人を送り、どのような思いでその後を生きたのでしょうか2019/10/15
真理そら
23
待賢門院璋子との関わりを中心に西行の生涯の前半の物語。青墓での生活の部分が好きだ。同じ作者の『阿修羅の~』と同様に西行の優しさに重点が置かれた書き方のような気がする。『宿神(夢枕獏)』とは趣の違う西行の魅力が描かれている。2018/11/27
ちゃありぃ
8
とにかく読みやすかった。歌人としての西行よりもその人柄にスポットをあてたような作品でしょうか。待賢門院璋子がむっちゃ気になる。2014/04/19
藤枝梅安
8
三田さんの小説は「僕って何」「いちご同盟」以来、約20年ぶり。 文武両道の達人・佐藤義清が若くして出家し西行となってから、保元・平治の乱までの激動の半生を描く。出家してからも俗名のように義に篤く清い西行の生き方は奔放な平安貴族の時代にはそぐわなかったのかもしれない。後白河院、平清盛などこの時代を代表する人物たちを登場させ、続編が楽しみ。辻邦生さんの「西行花伝」も再読したくなった。2010/03/12
kazu4
4
芥川賞『僕って何』以来の三田誠広作品。 いつの間にか、歴史物を描く方向に舵をとっていたのか?気づかなかった!2021/05/25
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- 和書
- トロイメライ 角川文庫