内容説明
底知れぬ深き罪、そして永遠に続く罰…竹本健治・文、建石修志・画による大人のための暗黒童話、ついに完成。
著者等紹介
竹本健治[タケモトケンジ]
1954年、兵庫県生まれ。77年より中井英夫に才能を見出され『幻影城』にて「匣の中の失楽」の連載を開始
建石修志[タテイシシュウジ]
1949年、東京都生まれ。東京芸術大学卒業。「凍結するアリスたちの日々に」などの鉛筆画による作品、「標本箱の少年」等の油彩とテムペラによる混合技法作品、オブジェ、コラージュ作品の発表と並行して、書籍の装幀、装画を多数手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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YM
53
お気に入りさんの本書を読んだ感想が詩のようだった。冷たく、息苦しい感じ。僕には響くものがあって、どんな本を読んだのか知りたくて、手に取った。副題として七色の犯罪のための絵本とあった。赤、黒、ラピスラズリなど、色にまつわりながら話は進むが、七色の鮮やかなというよりは、濃くて暗い世界。主人公の子供たちは罪を犯す。童話だけど、描写は生々しい。無垢な子供の罪は妙にリアルだ。無表情に何かを見透かしたような挿絵は不気味で美しい。自分が自分と向き合うような本に感じられた。お気に入りさんの世界に少し近づけただろうか。2014/11/29
yn1951jp
35
赤い空に聳える赤い塔、真夜中の黒の集会、銀色の風吹く草原、ピアノレッスンの少女への白い凝視、青い血を持つ少年、森の中の緑の沼、深い紫の瞳の恋人がいた2億年前の地球。七色の犯罪を犯す少年たち。そして、花びらとなって掻き消える少年。無数の感情が断片となって降りかかる花吹雪のしあわせな死。降りしきる無数の罰。愛しいものを奪い取られる罰。これは、七色の罪を犯した少年の罪を贖う桜色の罰。七色の犯罪を犯し、しあわせな桜の獄に繋がれているのは、竹本と建石の画文集を読んだ私です。2016/06/05
みやぎ
2
七色の犯罪のための絵本とあるように、色のついた題の七つの話と、書き下ろし『しあわせな死の桜』。不思議な雰囲気の童話のようです。2022/04/25
ふしめはか
2
七色の犯罪のための絵本"、不穏なタイトルの七短編、書き下ろし"しあわせな死の桜"という充実の内容。 美しく明瞭で理性的な描写と、内容の不条理さ、ある意味での支離滅裂加減が奇妙にアンバラスで、非常に気持ちが悪く、読後感の残酷な爪痕は一級品。2018/04/12
さんがつ
1
絵が綺麗だった。大人の絵本って感じ。2012/04/04