内容説明
亡師に献る誄歌三百七十余首。
目次
トロッコ
戦争の木
カルマ
源氏十首
春
わが背子
み吉野三日
シネマ
若葉
狂人、不狂人〔ほか〕
著者等紹介
水原紫苑[ミズハラシオン]
1959年神奈川県生まれ。早稲田大学大学院仏文学専攻修士課程修了。’89年第1歌集『びあんか』刊行。’90年上記歌集で第34回現代歌人協会賞を受賞。『客人』(第3歌集)で、第1回駿河梅花文学賞受賞。『くわんおん(観音)』(第4歌集)で第10回河野愛子賞受賞
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感想・レビュー
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seri
63
新古典派と呼ばれる人を知りたくて読みました。水原紫苑さん、私この方すごく好きです。美しくも鋭い日本刀のよう。古の時代への愛おしみ、戦争への嘆き、そして師との死別の哀しみを。私の読みや知識のレベルでは難解で、まだ完全な理解には至らないけれど。「美しき第九条の玉の緒の絶えなむ日あらばうたも絶えなむ」現状を思うと胸を貫くような。「狂ほしき牛となりたるエウローペわれらを抱く二十一世紀」ギリシア神話にまで広がるその幅広さ。「コカ・コーラ古代紫とおもふとき哄笑は起きむ夜明けの空ゆ」古代と現代の調和する感性。素敵です。2014/08/14
kaizen@名古屋de朝活読書会
37
#水原紫苑 #短歌 #現代女性歌人展 流れゆくわたくし浅き川なるに中之島もてり子らは遊べよ 水遣ればたちまち吸へり老いながらいのち豊けき戦争の木よ 旅にして化粧(けはひ)は羞(やさ)し吉野川渡りゆきたる姫の首おもほゆ 蜻蛉(せいれい)の滝に向かひてわがうたを虹に照らすは生きのかなしさ こゑびびく象(きさ)お小川は戦ひの星の胸処にふれにけるかも 夏の日の出会ひはつねに未完にてこの古井戸の想ひを知らず2016/07/24
袖崎いたる
2
静かな刀を夜更けに眇めている心地。2022/06/19