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猫の客

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  • サイズ B6判/ページ数 137p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309014302
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

チビの来た庭。狂騰する時代の波に崩される古い屋敷での生きものの軌跡―魔術的私小説。

著者等紹介

平出隆[ヒライデタカシ]
詩人。1950年、福岡県生まれ。一橋大学社会学部卒。現在、多摩美術大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社トリスタの提供する「読書メーター」によるものです。

佳音

71
読み友さまのような素晴らしい感想をもらすことは、できない。小窓にちぎれ雲が浮かんでから、喜びとその表裏である悲しみを受けとる運命が始まる。愛しいものとの出逢いは、抗えぬ流れに寄り添い、その流れにおのれを任せるしかない。ゆく川の流れは絶えずしてまた元の水にあらず。時の流れのつかの間、心に灯をつけてくれた、小さきものよ、ありがとう。2016/10/30

けろりん

50
【猫本を読もう読書会】素晴らしいレビューに惹かれて。風雅な庭園を有する屋敷の一角に間借りする夫婦ふたりの生活に、ちぎれ雲のような仔猫が現れた。男の子の高らかな宣言により、隣家の飼い猫となった「チビ」を、賓客としてもてなす日々。自由な生きものの出入りを静かに見守るふたりの喜びが四季の移ろいとともに繊細かつ抑制された筆致で描かれる。抗えない運命の流れのように訪れた別れ。昭和の終焉とともに、人の生活や心の在り方、価値観も変化して行った大きな破綻の時代。喪われた緩やかな優しいものへの愛惜が込められた美しい掌編。2019/02/19

ぶんこ

49
1990年代の物語と知ってはいても、文体が昭和の初めを感じさせるので、つい戦争前の長閑な時代を思い浮かべて読んでしまいました。都内で大きな庭と離れを持つ家。その離れに住んでいると、光や風が独特な現れ方をする。そんな家に住んだら、引っ越しはしたくなくなるでしょう。しかもお隣の飼い猫が年中立ち寄っていくなんていう素晴らしいおまけ付き。時間が緩やかに流れているようでした。2019/01/23

クリママ

44
活字の大きさやページ内のレイアウト、そして、その文章からか戦後間もなくの昭和のころをイメージしたものの、時代はバブル期前後。借りていた住まいは、練塀と板塀に囲われた広い庭のある離れ。そして、隣家に飼われることになった猫。若い夫婦の日常の中に深い哀惜がある。思わず立ち止まって読み返さずにはいられない文。特に各章の最後の文。先に読んだ乙川雄三郎の作品の中の「完璧な一行」という言葉を思い出す。初めて読む作者、平出隆は詩人である。2019/04/05

リッツ

28
あ、再読だったと一、二ページ目の家の描写で気づいた。しかし前回は相当以前で(読メも始めてなかった)印象的な場面はそこかしこ覚えがあるのに大筋が分からず、あ、こんな終わりかただったのかと呆然とすると共に喪失感とはこんな風だと思った。そして前と違うのは私の家にあの頃いたのは犬だった。犬はよそ様の家の客にはならない、道で知らない人に可愛がられると単純に嬉しかった。でも今うちの猫が他所で心からくつろいでいたら複雑かも。虐められるよりはよっぽどいいに決まってるけど。読み終わって、ぼんやりとした寂しさを味わった。2021/01/07

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