内容説明
ワールドツアー校の新学期。おなじみ教官の人気ランキング最下位は今年もシンヤ。気の迷いで彼のプログラムをヒットしてしまったぼくは、そこでとんでもない目にあって…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
83
長野まゆみさんのSFを読むのは初めてでした。今まで読んできた中で1番過激な作品です。直接的な表現が多いものの、下品な感じはなく、美しい世界に溶け込んでいました。「ボディ」と「スピリット」の根本的な認識が異なる1000年後の世界だからかもしれません。男性が妊娠するのも不思議じゃないのでしょう。「機能的に女の男」が鍵なのだと思います。同性愛なのでしょうが、神話のような雰囲気がありました。2015/10/28
藤月はな(灯れ松明の火)
25
継承争いでの身の潔白を明かそうと旅する王子。一方、ボディを衣服のように交換でき、女は希少となり、女の生殖機能を果たすφを持つ男子が住む近未来的世界。それが互いに交じり合う時、千年、願い続けた願いが明らかになる場面が胸に残りました。記憶を失っても短い命で生き続け、何度も転生するリオンと記憶を持ち続けるシンヤ。願い乾いた光に満ち溢れた砂漠のような物語。蛇が象徴する意味にドキドキし、雄の三毛猫(=希少価値)のような少年や体格のいい男ほどその真価を隠したがる長野まゆみ作品の特徴に思わず、笑ってしまいました。2012/08/15
波璃子
20
幻想に浸りたくて長野ワールドを度々訪れてしまう。長野作品では初めてのSF。男性が妊娠する要素があり「猫道楽」と同じくらいの過激さがあるがこれは同性愛というよりは神話の雰囲気に似ていると思った。文庫化してほしい。2015/09/04
冬見
16
女性の人口が男性の人口の数パーセント程度にまで減った時代。少年たちの通うワールドツアー校は新学期を迎え、プログラム選択が始まる。おかしなプログラムをインストールしてしまったぼくと、ギリギリ人間のリヨン、最下位教官のシンヤ、神出鬼没の謎の青年レイジ。千年にわたる円環の物語。◆『新世界』シリーズのような読み心地。SF。隠語をふんだんに使っているけれど、内容としてはかなり直接的。長野まゆみはついに少年だけの世界を作ってしまった。2019/09/14
ゆゆゆ
10
長野さんお得意の(?)ファンタジーSFで男の子同士の…な作品。いままでの作品ではぼかされていたことがかなり直接的に描写されていて戸惑いました。読むのは二度めですが情報を追うのに必死で人物の心情までついていけず…。リヨンとルカの関係が好きでした。時間と共に消費されるはずの少年の美しさを、成長させず14歳で終わらせていることに著者のこだわりを感じます。2013/08/25




