内容説明
死刑確定までの七十二日間の獄中生活を綴る、遺された「最後」の日記。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
駄目男
8
永山則夫、最後の日記になるらしいが、読み物としては決して面白いものではない。日々、読書、手紙、面会などが箇条書きのように書かれている。ただ、拘置以来の勉強と読書量は大したもので、様々な分野にわたって研究している。しかし、日記から読み取れるのは、やや独善的になり過ぎる嫌いがあるがどうだろう。少し相手を見下しているようにも思う。思想、哲学などを学んだためだと思うが、4人を殺害した罪は大きく、手紙の端々に知人の健康など思いやる気持ちがあるならば殺害した人にも家族がいたことを思い知るべきであろう。2019/03/13
よしじ乃輔
6
犯行当時、未成年だった場合の死刑量刑に影響与えている「永山基準」。その基準となった死刑確定前の永山則夫の獄中日記。とあるが、支援者への書簡。穏やかに支援者への礼に尽きる書簡を読むと、生い立ちさえもう少し良ければ、そして獄中で啓き知った事がもう少し早ければ、と思わずにいられない。2022/04/23
CHRONO
2
永山基準として、現在の死刑判決の目安となった殺人事件の犯人の日記。淡々と日々の出来事や食事などを綴っている。手紙も感情表現などは少なく、あったことややるべきことなどを書いている。「異水」の執筆中で、「木橋」の受賞後、日本文芸家協会への入会を認める、認めないでもめている様や、支援者や弁護士との関係も見て取れ、死刑制度をなくす運動をしている様子も書かれている。本の収入があるため他の受刑者よりも金銭的には豊かなのだろう。買い物や差し入れなどもすべて細かく記録されている。2023/07/29