内容説明
千年の歴史を遡り、20世紀に聳える巨人の存在の秘密を解き明かす渾身の力作。父方の故郷・相馬や、母方の故郷・鹿児島での実地調査と古文書の探索により、これまで知られなかった血脈を明らかにし、その文学と思想の根源を開示する。
目次
般若氏の系譜
般若氏と志賀氏
伊東猛右衛門祐之
伊東蒙吉
台湾
「農民闘争」時代
埴谷雄高と中野重治
埴谷雄高・武田泰淳・大岡昇平
埴谷雄高追悼―「あとがき」にかえて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆーいちろー
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本書の一番の価値は埴谷雄高の背景を探る家系的調査資料を簡単に閲覧できるようにしたことだろう。作品鑑賞における読者の想像力の助けとなる。今後この方面からの作品解釈において、大切な基礎資料となることだろう。評伝部分は、作家以前の共産党活動時代の概観、中野重治との対比による「転向」の意味、そして、武田泰淳、大岡昇平との親交から読み取る創作論へと続く。個人的には埴谷作品はテクストそのものに拠って解釈していくべきだと考えてるが、やはり作品の背後に透けて見えてくる作者の実像は面白い。ぷふい、このインチキじいさんめ!2017/05/21