目次
結び人
煙芸師
神足歩行術
鋳物師
女画家
深川の悪婆
蠅とり武士
穴掘りの意地
経師屋
花火師〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
26
わけのわからない所がウリの豆腐小僧までもが、アイデンティティを求めてさまよってしまった。フィクションでここまで書かれてしまったんじゃ、「不思議」な江戸のノンフィクションなんて、もう存在しないのじゃないか。そう思っていた今日この頃であるが、それは大きな間違いだった。鈴木春信の「清水の舞台より飛ぶ女」が表紙の本書には、まだまだ不思議な話が潜んでいた。そういえば、昔は本当に清水の舞台から飛んで、自分の願いが適うかどうか占った。ううむ、表紙から『事実は小説より奇なり』を持ってきたか。2004/03/21
らびぞう
11
改めて、江戸時代には、いろんな職業があり、貧しかったかも知れないが、すごく豊かに生活していたんだなぁと思った。「将棋指し」のたかが将棋されど将棋なれど、たった一局だけで、師匠と弟子となり、月日が流れても、ずっとその気持ちが繋がっている。美しかった。「仕組屋」は、痛快。みんな騙されてしまうが、笑える。「鋳物師」も、遥か彼方の異国から、鋳物師である女の元に帰って来た出世鯛にも、ロマンがあった。江戸時代、恐るべし。2021/08/10
ながめ
3
江戸の史実をうまくフィクションに変えていると思います。博物館で次回から物を見るときに少し見方が変わるような気がします2008/03/07
てまり
2
どんなに貧しく、辛いことの多い時代であっても、人はほんの少しのことに楽しみや喜びを見つけて生きていくものなんだなぁと思わされて、昔話の語りを聞いているような心地よさがある。地味だけど、こういう物語ってけっこう好き。2003/10/11
さびる
1
上州で来る日も来る日も夕方に穴を掘り、朝になると埋めている老人がいた。何のために、彼はそんなことをしているのか。「穴掘りの意地」など、江戸ならではのふしぎな話ばかりを集めた物語集。