内容説明
ベールイ、カフカ、ジュネ、セリーヌ、ムージルらの言語の襞にわけいる中から、境界の移動、権力の形成と消滅、そして小説と世界をめぐるかつてない思考の海図を描き出す、繊細にしてラディカルな長篇エッセー。
目次
見えない都市から
溶ける幾何学
世界と小説
頭の中の壁
壁を跳ばない男
出口はあるか
砂漠の本
世界の縁をみつめる視力
分離と浸透
「群れ」とセリーヌ
耳の中の地獄の門
夜の果ての果て
奇妙なラシスム
旅の断片(間奏曲)
奇妙な空間的反転だ
予定不調和と感情
創造六日目のモラル
権力の小説
境界の小説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
メルセ・ひすい
1
13-93 赤34 ☆★壁を飛ばない男 …カフカは「万里の長城」という題の短篇をかいている。上級の監督官と日雇いの人夫の間で「石を積む工匠たち」は、いちばん強い意志を保っていなければいけない。壁を積むという果てしない仕事の限界にいちばん敏感なのは彼らだ。そのため彼らが決して意志力を失うことがないように、希望が持続するまでぎりぎりの長さを積むと、彼らは故郷にもどされ、凱旋し、宴に迎えられて、それからまた違う場所に、新しいブロックを建てにいく。壁は徐々に完成に近づいていくが、彼らの内部の、試みの壁の※ 2010/05/26
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