感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
らぱん
32
死者を含む複数の語り手による入れ子の構造で、物語内の現在1975年と遡る100年ほどを行き来し、独立国であった琉球を強引に組み入れた日本政府の暴挙から現代まで続く迫害される沖縄の姿が現出される。山場は「ひめゆりの塔事件」をモデルにしたテロだが、主になるのは明治直前1865年に生まれ沖縄初の学士となり、結果日本政府の走狗となった挙句に狂死する謝花昇で、テロリストの名もまたジャハナだ。「聖」で象徴されるものの正体を暴き「俗」や「穢」との対比による真の「聖」を希求しながらも抗えない個人を描く幻想的で重厚な作品。2019/06/14
マリリン
29
明治から昭和の間を浮遊するかのような幻想的かつ耽美な世界を感じるが、琉球国であった時代の沖縄という独特な土地の歴史、安保闘争等社会性を感じる作品だった。六月の蒼い夜が静かにあけてゆきます。虫たちの音…ジャク、ジャク、ジャク。ひめゆりの塔事件...、ジャハナよ。呪われたおれの名前よ。 死んだ青年の口から不思議な骨のかけらが発見された。 そして、洞穴の入口には柵がつくられた。ふと、表題は、あの惨い情景を弔うかのような言葉のように感じた。2019/07/22
...
5
重層的な語り、複数名の声を通じて沖縄の本土とのつながりが表現される。100年以上の凄惨な暴力の歴史…。謝花昇のwikiを読みながら読んだ。面白い。2014/12/25
にゃんちゅう
4
「ひめゆりの塔事件」を扱った衝撃作。過去と現在を行き来する語り手「おれ」によるジャハナという人物(謝花昇)語りや、ひめゆり学徒とともに散った娼婦の語りなど多声的な語りが交錯する。ラストは見どころ。文庫化してくれー!!2018/11/07
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- 和書
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