出版社内容情報
私たちは健康だけど"病んでいる"
「人にどう思われるか」を感じ取るセンサーが過敏で、苦痛なまでに空気を読みすぎて人に合わせてしまう、そんな自分を偽者の仮面で隠していた。その仮面を他人から暴かれる恐怖に怯えながら。
表面上はうまくやっているけれど「自分は本物ではなく、偽者である」という虚無感に悩まされている現代人のパーソナリティに迫る。自身も「偽者」の当事者である著者が、そのパーソナリティの構造について解き明かしていく。
東京・新宿を舞台に『マッチングアプリ』『パパ活』『推し』『人間関係リセット』などの現代の文化や現象と照らし合わせながら、ときにユーモラスに、ときに専門学的に叙述されていく学術エンターテイメント。まったく新しい読書体験を。
【目次】
In And Out
第0章 本物と偽者
COLUMN 1:牽強男子
第1章 世間カメラ
COLUMN 2:警告出血
第2章 周波数
COLUMN 3:月曜日の朝、シャンプーが目に入った
第3章 距離
COLUMN 4:何度目の朝食か
第4章 擬態
COLUMN 5:部分恋人
第5章 諦念
COLUMN 6:タメ口考
第6章 朝食
COLUMN 7:リエゾンという雰囲気
第7章 解題
COLUMN 8:らしくない
第8章 脱出
COLUMN 9:軌跡のアーカイブ
あとがき
尾久守侑[オギュウカミユ]
著・文・その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
57
【皆、それぞれの固有の弱さがある。私の弱さ、それは私が偽者だという感覚から発生する】何とも派手な表紙だ。「タマムシフィルム」という特殊なフィルム加工を装った本書は、金原出版初の学術エンターテイメントらしい……。<本書は散文で書かれた書物という特徴はあるが、それ以外のコードからは結構自由に書いたつもりでいる。金原出版から出ている都合上、一見医学書と思われるかもしれないが、お読みいただけば分かるように本書の対象はずっと広い。抑圧を歯牙にもかけず、遠い誰かの受容体に本書が結合できたら良いなと空想している>と。⇒2025/05/19
亜希
20
文喫にて。発売当初にツイッターで知り、ずっと読みたいと思っていた一冊。読みやすいけれど、私の脳みそでは理解できない箇所もあり一気読みしたら頭痛がした。でも"人にどう思われるか"を感じ取るセンサー=「世間カメラ」という表現が好き。"妻が〜。私に妻はいない"のような夢オチのようなくだりが、くどいけれど好き。GLAYの「誘惑」を急に歌い出すところが好き。要は若干クセ強めだけれど、面白かったです。2023/04/10
Satoshi Hara
11
「暇と退屈の倫理学」を読み終えた時もそうだったけれど、「この著者は何で僕のことを知ってるのだろう」という気持ちにさせてくれる稀有な本だった。「偽者クラスタ」の特徴である「世間カメラ」「周波数」「距離」「擬態」「諦念」のうちほとんど自分に当てはまったのでは。自分はそれほど周波数のツマミは細かくはないし、聞き上手でも雜談上手でもないけど(ほとんどの場合相手に興味を持てずに離れようとする)。自分を知るための言葉の引き出しが増えた気がする。それで自分が変わるわけでは無いが、メタ的に自分を眺めて振り回されなくなれば2022/10/01
Iwata Kentaro
10
献本御礼。先にも書いたが精神科医は文章がうまい。それはそれとして、医者は実はそんなに文章が上手くない人が多い。が、本書はリズム感豊かな例外に属する。数十文字のSNSすらきちんと書けない人も多い中で、「文章」という概念で二極化が起きているように思う。本書の「諦観」には共感した、がゆえにあまり驚きはなかった、ので案外同類の人は多いのかも知れない。2022/09/16
💓
3
「世間カメラ」「周波数」「距離」「擬態」「諦念」 わかる話ばかりだったけれど特に距離のところにある誘惑と防御がわかった2024/07/12
-
- 電子書籍
- ブラックホールで死んでみる タイソン博…