内容説明
「私たちに必要なのは、新しい技術ではなく、新しい生活様式である」と著者は語る。本書の中で、人類の蓄積された知識のうち、5つの基本的な機能(食事すること、眠ること、座ること、清潔にすること、入浴すること)について再検討する。
目次
最後の晩餐のテーブルマナー
みにくい座り方
評判の悪い衛生法
にぎやかな風呂場
時代遅れの寝室
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パンダマン
1
最後の晩餐はダヴィンチの絵のようなテーブルと椅子ではなく、当時の習慣に従って横になって行われたと言う衝撃の事実から始まる。そして後世の画家たちは自分の文化のフィルターを通して聖書の記述を理解していた。食事、入浴、排泄、などが多様な文化の広がりの中で語られる。著者は西洋人の読者を念頭に書いているから、東洋びいきな文章だと思った。特にベッドや椅子への批判的な文章が凄い。政府が国民に向けて発行する本を「白書」と言うが、本書はデザインもそうだが著者独自の観点や調査で読者を魅了する「黒書」と言っても良いでしょうか。2021/08/05
ねぎとろ
1
文化相対主義的視点からみた生活史。基本は蘊蓄話なんだが、時にハッとするような記述もある。なにより多数の図を見ているだけでかなり楽しめる。2011/11/13
tatemonogakari
1
お風呂に入浴する習慣って客観的に見るとここまで考察できるものなのか。生活習慣ってわりと宗教からくる価値観に大きく影響されているというのもおもしろい。2011/11/11
yutanpo
1
普段の生活の中で当たり前になっていることでも実は誤ったものが多いらしい。かといって今の生活を捨てて懐古趣味になるのも違う気がするし、そもそも身体が追いつかない気がする。それにしても昔の日本人の生活はぜひ体験してみたい。文化史の本の中の日本は完全に異国。2011/10/29
ftoku
1
冒頭で「キリストの最後の晩餐ってホントは横に寝そべって食べてたんだよ」といった感じで模範的な“掴み”を魅せてくれる本書。広く浅くという感じでサクッと読める。古い建物や空間を訪ねても、その中での生活様式は思い描けない私たちの身勝手な固定観念を揺さぶるにはこのぐらいの分量的軽さと事実を知る衝撃が心地よい。2011/06/25