感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
フランス語のmodule寸法とsection d’or黄金比を合わせた造語Modulorは、西洋での人間基準のインチ・フィート法と世界共通のメートル法が混在する前世紀、人間と建築を機能的に統合する単位として発案された。背景には建築設計では受動的な立場の住む者を設計段階から能動的に組み込む意図があるという。本書では、人の臍を基準に人体寸法を黄金比で分割する数学的操作で自身の建築以外の建築や絵画もこの調和のとれた分割比率から15の値にまとまることが示されるが、動的な人間を2次元で静的に規格化する面も示される。2025/06/08
Akiro OUED
1
音階が音の階梯であるようにModulorは長さの階梯だという。例えば、扉の大きさを決めるとき高さ226cmにすれば、幅は86cmにすべし、とModulorはガイドする。思考節約的でよいね。最近のパワポは、デザインアイディアが勝手にでてくるけど、Modulorと同じ発想だね。2020/01/06
RS
0
175cm、182.88cmの身長を持つ人体の様々な活動寸法を基準に、黄金比、直角三角形、フィボナッチ数列などの数学的言語を駆使し、寸法階梯の体系が考察されている。実作の多くに、このシステムが想像以上に厳密に適用されていることに驚いた。生産効率の為ではなく、人体と造形との統一、調和を図る為のモデュールであるので、人体のスケールを遥かに超えた対象など(建物のファサードや、都市計画のプランなど)に応用することにどれだけの意味があるのかは疑問だが、純粋幾何学による造形の統一が時代特有のテーマだったのだと思った。2016/02/01
ftoku
0
冒頭の正方形を作るなぞなぞ(?)をCAD上で試しても全く一致しなくて、近似ならそう書けばいいのにとイライラしながら読んでたら最後の最後で数学者に突っ込まれていて安心した。 別の本で読んだのだけど、青数列の隣合う2項の算術平均が赤数列になり、赤数列の隣合う2項の調和平均が青数列になるようになっていて、モデュロールに関してはよく出来ているなと思った。とはいえ、6フィートを基準にしたせいで、イマイチ実感の湧かない数字になっている気がする。2019/03/05