感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
6
動的な自然は作庭時の設計思想に遡行することを許さず、所有者が変わるごとに手を加えることから、庭園史を編むのは難しいとされる。自然と一線を画して幾何学的に設計された近世フランスの作庭と異なり、「自然に従う」姿勢が強い日本の庭なら尚更だ。そこで著者は「自然に従う」姿勢を保持しつつ「自然を造形する」姿勢を見せ始める近世初期の茶道の作庭に注意を向ける。古田織部が路地に置く敷松葉や切石、自然に反するような直線的手法の導入(仙洞御所等)を検討する本書は、西洋の対極とされた日本の自然観がより複雑であることを示唆する。2025/07/28
比丘尼坂
0
日本の庭園を作った人を、「自然に従う」、「自然を造形する」の視点から検討した造園史。 SD選書にしては読み物的で造園史の入門編として面白く読めた。2019/08/12