感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
68
昭和42年発行の翻訳調のためか、読みやすいとは言えなかったが、豊富な写真やイラストを見るだけでも面白い。2019/06/02
zirou1984
36
近代建築の潮流を作り上げた男の言葉は思った以上に扇情的なものだった。ここには近代に対する確信がある。装飾や様式に縛られた旧態依然としたものでなく、立体と面、平面によって作り出された建築はそうした贅沢品に頼らなくとも人を感動させられるのだと。建設は知性によって作られるが、建築は人の心を動かすものであり、芸術品であるのだという確信。また同時に「住宅は機械である」と断言するその内容は、1920年代におけるモダニズムが科学的進歩と人間性の発達という両輪によって駆動していたことがよくわかるものとなっている。2015/10/10
ビイーン
30
通訳が直訳的で難しい本である。再読でようやく理解可能なところが増え全体が薄っすらと見えてきた。100年前の本ではあるが、現代においても学ぶべき事が多く興味深い内容で、しばらく経ってからまた読み返したい。2023/01/08
エリナ松岡
14
うーん、随分極端な人だなぁ、というのが正直な感想です。それと雑誌へ寄稿した文を寄せ集めたようなので仕方ないかもしれませんが、同じことの繰り返しが続くので読むのが辛かったです。ただ、時代背景を考えると、建築における革新のために先頭に立って一生懸命頑張っていただけかもしれません。また、コルビュジェの褒めちぎるパルテノンの凄さを僕も感じ取れればまたこの本の評価を改めるとは思いますが、ちょっとそれは無理そうです。2020/01/18
roughfractus02
8
1920年代初頭雑誌『新精神』へ寄稿した論考を収録した本書は、工業と芸術の間に建築を着地させるという現代的課題と、宮殿や寺院に偏向する従来の建築から脱するという歴史的課題での葛藤がある。著者は一方で住宅を「住むための機械」と捉え、様式から機能に、一回的な巨大建築から量産可能な小さな建築へと現代化しながら大量生産と機能一辺倒になる建築に美をどのように導入するかという葛藤の中にある。建築を神から人間中心にする際その起点が平面であるためには、能動的精神が描き、身体行為が立体を生むという心身二元論の支えが必要だ。2025/06/01